「これは紀伊國屋書店が発した一つのメッセージだ」
 小東京のど真ん中に今月オープンした紀伊國屋書店の新店舗。日系の大手銀行だったところを改装した店内で、ウェラーコート2階にあったこれまでの店の2倍の広さ。天井も高い。その開放的な空間に、アニメの書籍をはじめとする各種の書物や学用品、そしてアニメ関連グッズがずらりと並ぶ。米国ではアニメに対する関心はすでに大いに高まっており、アニメ人気はうなぎのぼりだが、その状況において日本有数の歴史と規模を誇る紀伊國屋書店が大型新店舗をオープンしたのだ。「これまで以上にアニメを前面に打ち出した商戦を展開する」という企業戦略のメッセージであるのは明らかだった。
 新店舗開店に際し、日本から高井昌史会長が駆け付けた。アニメや漫画を「日本の強力な文化コンテンツ」として戦略的に捉えている高井氏は、開店記念のレセプションで「ロサンゼルスと小東京のさらなる発展に貢献したい」と述べた。それは、アニメ商戦の拡大にとどまらず、アニメへの関心をさらに広げ、多くのファンを小東京に招くことで街の未来を支えていきたいという意思表示だった。
 しかし、アニメがこれまで以上に多くの人々を小東京に呼び寄せること自体は大いに歓迎すべきことだが、街としては集まってくる大勢の人々をどのように受け入れるのか、地域の商業活動を支える環境は整っているのか、あるいは、アニメ人気を小東京のさらなる発展につなげるための新しいプランはあるのか、そんな問いを私の中に生じさせた。
 そしてもう一度、高井会長の言葉を振り返ってみた。それは、紀伊國屋書店という一企業の投資に応えて、より安全で活気ある街づくりを推進してほしいという、ロサンゼルス市や小東京に向けて発したメッセージとして捉えることもできると思った。その呼び掛けに街が積極的に応えていくよう期待したいと思っている。(長島幸和)

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