最近の自然や科学関係の情報番組を見ていて驚かされたことがある。鳥の言語能力の高さが証明されたという。命を守るため、仲間と連携するために言語、文章で知らせ合う。危険を察知した時に仲間に鳴き方を変えて知らせる、危険の種類をも知らせているという。方言に似た地域別鳴き方もあるという。身近に鳥の鳴き声を聞くと日本語圏と英語圏での鳴き声にも同様のことがあるのかと思ったりするが、鳴き方に種類があることは分かるが何を意味しているかまではさっぱり分からない。
文法も何もない、意味不明の奇声としか聞こえないホームレスの声を思うと鳥には感服する。根気よく鳴き声を聞き、行動を観察してその結果を検証して分かったことだというから研究者の努力と探究心には感心する。奇声は何を意味しているか分かろうという気にもなかなかならない。行動も分からないことだらけ。わざわざ冊子やパンフレットを集めまくって、それをどこかの店のドアの郵便受け窓から投げ込むのを見て、「ゴミだったら、これに入れて」とゴミ箱を差し出すと、いやいやしぶしぶ入れる。そして何かぶつぶつ言って立ち去る。せめて、分かる言葉で説明してくれたらいいのにと思う。
日本人のホームレスが増えていて、怪しい行動をとる者もいる。コロナの影響で働く場所がなくなったのか何かは不明だが、ホームレスだと公言してはばからない。そういう人たちの言うことも理解できないことがよくある。栄養不良によるものか薬物摂取によるものか原因は不明だが、適切ではない単語と、文法にのっとっていない言い回し。こんな状況の中で、鳥の言語能力を証明する映像を見たものだから、すっかり興奮してしまった。鳥以下ではないかという状況を目の当たりにして、言語能力は人類特有の能力ではなく、進化させただけかと思えてくる。
小東京ではホームレスの近くで活動していると、見ようとしなくても目に入ってくるホームレスの行動。何を求めて、何に困っているかを伝えられたら、手伝えることもあると思う。言葉で伝えることは大事なことだと今更のように感じている。(大石克子)