アーチャー・アビエーションが行った2人乗りeVTOLの初飛行テストの様子=2021年12月(アーチャー・アビエーション提供)

 ロサンゼルス運輸局(LADOT)は、ドローンの技術を使って空を飛ぶタクシーが2028年の夏季五輪、またはそれよりも早く実用化されると予想している。
 エアタクシーとして期待される電動垂直離着陸機(eVTOL)を巡っては、19年にロサンゼルスのエリック・ガーセッティ市長が、新しいモビリティー技術を加速させるために非営利団体「アーバン・ムーブメンツラボ(Urban Movements Lab)」の立ち上げを支援し、ロサンゼルス運輸局の他、韓国自動車大手の現代自動車、パルアルトにある「アーチャー・アビエーション」などの民間企業と協力して将来の空域を巡る市の規制の策定を行っている。
 アーチャー・アビエーションのCEOを務めるアダム・ゴールドスタイン氏は「地上では60〜90分かかる目的地まで、空中なら5〜10分で移動できる」と話し、また「ダウンタウンからサンタモニカまでの移動料金は、Uberのように50ドル程度になる」と予想している。現在、エアタクシーは同社のように多額の資金を有するハイテク企業によってカリフォルニア各地でテストが行われており、いずれもロサンゼルスでの運行開始を検討している。アーチャー・アビエーションは24年までにロサンゼルスでの商業運転開始を目指しているという。
 eVTOL機の専門家であり、スタンフォード大学工学部航空宇宙学科のホアン・アロンソ教授は「非常に有望な技術だが、安全性や許可、騒音、環境問題、交通管理など、これから対処しなければならないことがたくさんある」と述べている。ロサンゼルス運輸局は昨年9月、騒音レベルや許可証など、エアタクシーが直面し得るさまざまな規制について検討した報告書を発表したが、都市部の上空を飛来する大量の航空機の安全性や地域社会への影響などを懸念する声もあり、今後の行方が注目されている。

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