リアラインメントとは再編成、配置転換という意味だ。
 先日、大学スポーツ界でファンが仰天するニュースが流れた。西海岸と西部の州を中心に12大学で形成されるパシフィック12カンファレンス(通称パック12=PAC12)の加盟校UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス)とUSC(南カリフォルニア大学)の2校が脱退し、中西部の組織BIG10(通称ビッグテン)に2024年から加盟するというのだ。日本で例えると関西強豪大学が東京六大学に加盟するようなものか?
 以前は、各組織の優勝チームが正月に大学アメフト4大ボウルの一つパサデナ・ローズボウルで対戦するライバル関係だったが、1998年に約50年続いた伝統的定期戦を廃止。真の全米一を決めようと、ファンの要望とビジネスチャンスがマッチし、それ以来試合構成を改変し続け、連鎖反応的に脱退・加盟は頻繁に生じていた。
 その要因は「お金」だ。学校運営はビジネス。資金を要する。UCLA体育局(25チーム、700人以上の選手)は、ここ3年間で1億280万ドル(1ドル=136円計算で139・8億円)の累計赤字。収入資源確保に最も重要なのは人気スポーツの巨額放映権。レギュラーシーズンで通常安定した高い視聴率が取れるのは、中西部や東海岸で昼頃開始される強豪人気校の試合だ。
 BIG10は、魅力あるLAマーケットをカバーし、ほぼ全土を制覇。BIG10の多くの卒業生がLA地域に在住する。計16校で次回放映権が莫大な10億ドル(1360億円)と推測。アップルも放映権交渉中とのことだ。LA2校は全国的な露出と収入をシェアし、UCLAは一気に赤字解消か? お互い恩恵を享受できる構想で納得する。
 そもそも学生はプロではないのだが、今後、選手たちの飛行機での長距離移動が懸念点だ。LAからBIG10最東端に位置するニュージャージー州のラトガー大学との距離は約4500キロ。東京からタイのバンコクまでだ。
 スケールの大きいリアラインメント。リーダーたちの見切りをつける決断、切り替えの早さは進化する米国を象徴する。(長土居政史)

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