6月中旬、梅雨の晴れ間に東京湾のクルーズに参加した。東京都の視察船「東京みなと丸」215トンのスマートな船である。50人乗り。船内は真ん中にだ円形の細長いテーブルがあり、回転椅子がずらっと取り付けられ、窓際には2人掛けの椅子が並ぶ。東京都が広報活動として運営する無料の視察船である。
 はるかに望むレンインボーブリッジが東京湾のシンボル。右手の芝浦埠頭(ふとう)に立ち並ぶ上屋や倉庫を見ながら説明を受け、やがてレインボーブリッジをくぐると品川埠頭だ。魚・肉・その他の食品関係の倉庫が並び、まさに大東京の食材を一手に取り扱っている。冷凍倉庫も多い。
 品川埠頭を過ぎると港湾機能と物流機能が有機的に組み合った大井埠頭だ。この埠頭は正に物流の拠点、荷物もコンテナ輸送が多く、ガントリークレーンがずらりと並んだコンテナ埠頭だ。対岸はやはり埋め立てで作られた「中央防波堤外側コンテナ埠頭」や青海コンテナ埠頭で、コンテナ船がこの湾域に集中している。
 大井埠頭には湾岸高速道路が走り一部は海底トンネルとなって千葉方面・成田空港まで通じている。海底トンネルの出入り口には、一方が赤色、もう一方が青色の縦線が入った塔があり、これが空気抜きの役割を果たしているのかな?
 大井埠頭と大井町や大森などの陸側の間には「京浜運河」が通じていて、その先は羽田空港である。昔は大森沖の遠浅の海岸は海苔(のり)の養殖で知られ市民の遊山地、料亭や遊郭などもある三業地だったが、今では大井競馬場や各種公園が作られ様変わりした。
 大井埠頭を抜けるともう東京国際空港(羽田空港)で、遠くに旅客機の機影が遠望できる。船はここからターンして戻る。帰路に見える埋立地には、東京ビッグサイトや新設された豊洲市場などがある。
 元々は「夢の島」から始まった東京都のゴミ捨て場としての埋立地だが、今では単なるゴミ捨て場ではなく、ゴミの上に土を盛り、木を植えるなど、都民の憩いの場も提供しつつ本格的な港湾機能を作り上げている。東京湾は今も絶えず発展を続けている。
 東京湾は、陸側から見るのと海側から見るのでは随分印象が違う。懇切な説明のおかげで湾内諸施設のさまざまな機能が分かり、有意義なクルーズだった。(若尾龍彦)

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