コロナ禍になってからどれだけの海外ドラマを見ただろうか。倍速機能を使って視聴したものもあるからかなりの数になる。いまさらながら何を見たかのリストや簡単な感想を書き残しておけばよかったと思う。
いい作品に出会うと、その脚本家や監督にも興味が出て他の作品を探すこともある。作り手たちはその作品にどんな思いを込めているんだろう、どんな社会になったらと夢見ているんだろう、と考えを巡らせる。
場違いにも程があるけれど、いつか何か書いてみたいと思うこともある。最近少し心が動いたのは、好きな作家で映画監督の肩書きも持つ人が講師を務める小説教室。今は余裕がないけれど、リタイアしたらこういうものにも参加してみたいし、脚本家の話も聞いてみたい。
日本はコロナ第7波のまっただ中。感染者数の記録を更新し続けていて、重傷者や死亡者も増えてきた。仕事でコロナの記事を担当していて思うのは感染して何一ついいことはないということ。人々がこの2年半を経てどういう環境や行動にリスクが潜んでいるか学んでいるはずなのに、感染は止まることはない。
私はちょっとストイックなくらいに自粛生活を送っているけれど、ことしの夏は暑くて外を出歩くのも大変。部屋の数カ所の窓を少しずつ開けて換気を万全にして、エアコンの効いた部屋で静かに過ごしている。
ドラマを見る以外は、読むことと書くことが生活の中心。人とのコミュニケーションは、もはや言葉を発するよりも、文字にしてメールやチャットをしたほうがスムーズで気が楽になってしまった。
寝る前はドラマの時間。普段見るものは主人公が警察官や検察官、弁護士、裁判官のものが多い。今はまっているのは障害を抱えながらも奮闘する新米女性弁護士の話。小説が原作にあるわけではなく脚本家が作り上げた物語で、扱われている事件の多くは実話に基づいているという。
私の今の生活はとても極端で弊害もある。いざ人と会話をする時に言葉が出てこないこともあるし、オンラインの世界にいて現実に生きていないような感覚になることもある。そんな中でも、ドラマはフィクションとはいえ、自分をリアルな社会とつなげてくれる貴重なものだと思う。(中西奈緒)