前回、飛行機に乗った時のこと。私のことだから、もちろん座席はエコノミーである。機体の後ろの方の席でニューヨークからの5時間超のフライトに耐えていた時、突然何とも言えないいや〜な気持ちに襲われた。医療検査装置のMRIが怖くて検査を断念した時と同じ、あのパニックだ。閉所恐怖症?である。
以前から狭いところは苦手だった。でも、これまで大型の飛行機に乗ってそれを感じたことはなかった。年齢と共に精神が弱くなっているのだろうか?などと考えていた時に、テレビのニュースで「航空会社は秘密裏に座席の幅を狭くしたり、前後の座席の間隔を詰めたりしているんですよ」という報道があった。
確かに、最近はエコノミー席を買うと「足元に余裕があるプレミア席にアップグレードしませんか」というお誘いが続く。「短足の私には関係ないわ」と思っていたが、実は私が買っているものがダウングレード品だったのだ。同じ値段で量が少なめ。これは最近の世の中のトレンドである。
とはいえ、まだシートベルトはお腹に回るし、席のサイズはあまり問題ではないので私にはエコノミーで十分。だが「燃料エネルギーの効率化のため飛行機が小さくなり、そこに同じ人数を詰めこもうとしている」という解説は、聞き捨てならない。そういえば、別の便だったが頭上の荷物コンパートメントが小さすぎて2人分のキャリーオンが収まらず、お客さんが困っているフライトにも乗ったことがある。私が恐怖を感じた飛行機は細く長く筒状の空間で、天井がやたら低く、通路はギリギリまで狭く…だから私のMRIのトラウマを呼び起こしたのに違いない。
ちなみに、法律では座席の寸法に関する決まりはなく、安全に運行できれば良いそうである。レポーターは「こんなにせまくて緊急時に避難できるのでしょうか」と言っていた。私の意見では、最近の飛行機は私の精神の安全を脅かしている。こんな経験をしている人は他にいないのだろうか。
こんなことがあってから、飛行機に乗ることを少し苦手に感じている。どうか次に乗る飛行機がMRI型航空機501(こわい)MAXでありませんように。(長井智子)