米国では大統領選挙の2年後、任期のちょうど中間に選挙が行われる。6年任期の上院100議席の3分の1、2年任期の下院435全議席が改選される。
 ジョージア州上院候補者は誰もが50%の過半数に達せず、ランオフ(決選投票)が12月6日に行われる。予備選挙、本選挙のルールは基本的に各州が担う。本選挙にて決選投票を適用するのはジョージア州とルイジアナ州のみだ。
 民主党は幸いにも、この結果を待たずに上院50議席を前回同様に維持。カマラ・ハリス副大統領が上院議長でもあり、彼女の1票が加わることで多数派が確定された。下院は218議席獲得を目指すが、数議席の差で共和党が過半数を奪還した。
 中間選挙の意味合いは、現職大統領が民意を反映した仕事をしているかを評価する機会だ。過去に人気のあった(今でもだが)オバマ大統領1期目就任当時は上院も下院も民主党が多数だった。しかし期待が大きすぎたのか、中間選挙でどちらも議席数を失い、かろうじて上院は過半数を維持した。2期目の中間選挙は、再び多数の議席を失い、上院・下院とも共和党に過半数を奪われた。そのため、いわゆる「ねじれ」が生じ、思うように法案が通らず苦闘した経験を退任後のインタビューで語っている。
 共和党の赤色を称し、今回圧勝を切望した「レッドウェーブ」は生じなかった。政権支持率が40%を切ったバイデン大統領だが、常に冷静で地道な努力が功を奏してか、それなりに健闘した成果にも見える。極端な右寄り化のトランプ派を国民は拒んだ結果ともとれる。
 州知事も共和26、民主24が見込まれる。つまり米国は見事なほど、真っ二つに割れている。ANES(American National Election Studies)の統計によると、過去2012年オバマに投票した840万人が16年トランプに投票した。その4年後今度は、バイデンに…の構図がうかがえる。
 民主主義の危機、中絶権利、移民、犯罪、ホームレス、ウクライナ戦争、毎日の生活に影響するインフレ問題…現実に直面する国民は敏感に反応する。
 そんな矢先にトランプが大統領選挙出馬を表明。再び社会混乱か? 懸念が続く。(長土居政史)

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