インディアナ州南部のブルーミントン市で起きた事件で56歳の女が起訴された。これはインディアナ大学に通う18歳の学生がバスの車内で繰り返し頭を刺された事件で、学校側は被害者がアジア人であることが犯行の理由だとしていた。AP通信が伝えた。

ブルーミントン警察によると1月11日の午後、被害者がブルーミントン・トランジットバスの車内に立って出口ドアが開くのを待っていたところ、女が被害者の頭を攻撃し始めたという。社内の監視カメラの映像によると、襲われる前に2人の間にやりとりはなかった。バスの乗客が加害者を追いかけ通報したことから、警察が容疑者ビリー・R・デイビスを逮捕した。デイビス容疑者は殺人未遂と加重暴行で起訴された。
被害者の名前は公開されていないが、被害者は複数の刺し傷のため病院で手当てを受けたという。地元局WRTVの報道によると、デイビス容疑者は警察に「われわれの国を爆破する人間を1人減らすために被害者の頭を折りたたみ式ナイフで何度も刺した」と語ったという。公選弁護人はデイビス被告の精神鑑定を求めている。
インディアナ大学の教授で多文化問題の学部を統率するジェームズ・ウィンブッシュ副学長は「反アジア系ヘイト犯罪が現実に起こり得ること、そしてそれが個人やわれわれのコミュニティーに痛みを伴う影響を与える可能性があることを思い知らされた」と声明を発表した。また「誰であっても、自分の経歴や民族性、血筋を理由に嫌がらせや暴力を受けるべきではない。われわれの町はむしろ、当大学とコミュニティーの文化を構成する多種多様なアイデンティティーと物事に対する多様な視点によって、より強くなっている」と述べた。
ジョン・ハミルトン市長は声明を発表し「今回のバス襲撃のような行為は容認できない。しかるべき対処をする」と述べ、さらに「このような人種差別的な事件が地域全体に波及すると、われわれの安全が損なわれることになる。アジア系コミュニティーとこの事件に脅威を感じている全ての人をサポートしたい」とつづった。
近年アジア系米国人は、特にコロナ禍において人種差別的な嫌がらせや暴行のターゲットにされることが多くなっている。