1990年、ニューヨークのセントラルパークでアースデーのコンサートが行われた。コンサートの目玉はホール&オーツやThe B-52’sで、そこには30万の人が押し寄せ、私もその中にいた。若かりし日の私は地球のことをもっと真剣に考えていて、後日にはコンサートで荒らされた公園の芝生のことにさえ胸を痛めたなぁと懐かしく思い出す。改めてその歴史をひも解くと、90年はアースデーが世界規模に拡大した最初の年だったそうだ。
70年4月22日に米国で始まったアースデーは環境保護庁(EPA)の設立や大気浄化法、水質浄化法、絶滅危惧種法など米国の画期的な環境法の成立に貢献した。90年から国際的なキャンペーンになり、今ではこの日に世界各地で啓蒙イベントが行われる。
世界が分断され、お互いの違いを認め合うことが重要だといわれるが、私は時々、むしろお互いの共通点を探し合うことが重要ではないかと思う。肌の色や宗教の違いよりも、美しいものを見れば感動し、いとしいものがなくなれば悲しいと泣く、そんな共通項でつながりたい。そして地球は、人間にとって普遍的に大切なテーマの一つであるはずだ。
音楽界では95年にマイケル・ジャクソンが「地球の歌(アースソング)」という曲を作っている。YouTubeで見ることができるが、プロモーションビデオが今でもパワフルだ。今マイケルが生きていたらどんな活動をするのだろうか。本当に地球は大事なアーティストを失ってしまったものだ。今週末のコーチェラ・ミュージックフェスティバルに出演するアイスランド出身の歌手ビョークも環境問題に声を上げるアーティストとして知られている。
今年のアースデーのテーマは「地球に投資する(Invest in Our Planet)」。私も1日を有意義に過ごしたいと思う。
ロサンゼルスでも多くのイベントが企画されているが、戸外に出て青い空や緑の木々に感謝を伝えるだけでもいいと思う。地球は46億年間も、今の私たちのために存在してくれているのだから。そして子どもの頃に愛読した黄色い表紙の絵本「せいめいのれきし」(バージニア・リー・バートン著)をもう一度広げてみようと思う。地球への新鮮な愛を取り戻すために。(長井智子)