LA支部の団結と65周年の成功を祈念し乾杯する参加者

 今秋に設立65周年記念行事を予定する「いけばな」の池坊ロサンゼルス支部(南谷泉芳支部長)がこのほど、総会とワークショップを3日間開催し、心を一つにして65周年を成功させることを誓った。小東京の日米文化会館(JACCC)を会場に、1日目の総会・親睦昼食会には73人の会員が参加、2、3日目は京都本部全米いけばな特別派遣講師の正村暁子(まさむら・さとこ)氏によるワークショップを延べ90人が受講した。

あいさつに立つ南谷泉芳支部長

 1日目の総会では、教授陣による15のいけばなが美しく会場を彩った。再任された南谷支部長があいさつに立ち、活動が制限されたコロナ禍から稽古を再開して花展に出品するなどした会員の努力をたたえた。65周年が支部にとって重要なイベントであることを強調し、「皆で助け合って記念行事を成功させ、思い出に残る祝賀会にしよう」と、家族や友人を誘って行事に参加することを呼びかけた。支部の団結と65周年記念の成功を祈念し乾杯した。
 昼食後は正村講師が約1時間にわたりデモンストレーションを行い、池坊の各スタイルにおける模範のテクニックを披露しながら生け込みを行った。正村氏は560年の歴史を有し古来の伝統を継承しながらも現代の暮らしに合う新しいスタイルを取り入れる池坊の基礎を示し、作品を完成させた。参加者は向上心の赴くまま、メモを取ったり、質問したり、講師の作品を写真に納めるなどした。

デモンストレーションで分かりやすく生け込みを解説する正村暁子・特派講師

 2、3日目のワークショップは、いけばなを始めてからまだ2、3年の初心者から上級の生徒まで延べ90人が熱心に聴講した。ある生徒は「池坊のスタイルである『生花』と『立花』の基本を教わったが、花器に白い小石を敷き水面を表さない立花のテクニックはこれまでにあまり習ったことがなく、難しかったが貴重だった」と話した。

 正村氏は今回、ロサンゼルスのほかサンディエゴやサンゲーブル、他州ではハワイ、フロリダ、テキサス、アンカレッジ(アラスカ州)を約3カ月かけて巡回するために北米に派遣されたという。「北米を回ってみて花は世界のどこでも愛されていることが分かった」と話し、「それぞれの支部の皆さんにはこれからも花の魅力、いけばなの心、池坊の良さを伝えほしい」と願った。ロサンゼルス支部の65年に及ぶ活動については「こんなに長い間、支部を続けてきてすばらしい。日本の伝統文化であるいけばなを受け継ぐ先生方が生徒を育て、池坊を米国で広めていてすごいことだと思う」と称賛した。「一つ一つの花を輝かせるのが日本のいけばなであり、米国のフラワーアレンジメントと違うところ。池坊には生け方の決まりごとがあるので、基礎を守りそれぞれのスタイルで美しい花の姿を見せてほしい」と希望した。

ワークショップでさまざまな花材を用いて生ける受講者

 池坊は全米に50超の支部を有し、カナダ、欧州、中近東、アジアの諸国にも進出しているが、世界展開を図る中で最初に海外に誕生したのがロサンゼルス支部であった。ロサンゼルスの会員は伝統ある海外支部に在籍する誇りを持って活動している。
 65周年記念行事は、1957年に当地を初めて訪れて海外発支部創設を支援した45世家元・池坊専永宗匠を招き9月9、10の両日、JACCCで催す。宗匠によるデモンストレーションや支部花展、記念祝賀会を開き盛大に祝う。南谷支部長は「宗匠のデモンストレーションは滅多に見れない貴重な機会なので、ぜひ参加して将来の活動に生かしてほしい」と述べた。

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