やっと、いつもの夏の暑さになってきた。あちこちで山火事が発生して被災した人たちもいる一方で、水害の被災者もまた多くいる。以前は山火事と水害は同時期に起こらなかったように思う。気候変動は著しいと感じる。暑さの時期がずれてきているし、降水量が極端になっていると思う。
 話題変わって、小東京のホームレスも新入りが多くなっていると感じる。これまで見なかった顔ぶれは、メトロの新駅が開通したことで移動してきたのではないかと思う。これまで以上にセキュリティーの人員を増やして監視を厳しくしているが、事件を起こさない限り取り締まりから漏れてしまう。この街に着いて、街に出ると人出が多く、実入りがいいと分かると、動かなくなる。働いてお金を得るということからどんどん遠のく悪循環。
 来月には二世週祭を控えている。心待ちにしている人は多い。小東京交番にも問い合わせに来る人たちが毎日、後を絶たない。気分よく安全に楽しめる祭りになってほしい。まだまだ暑さが続く。
 終戦記念日も近い。戦争に関わるエッセーや小説の中でも、軍国少年だったという城山三郎、陸軍に召集されないように海軍に入ったという阿川弘之の作品は結構読んだ。両氏の書く海軍は、体験と思いの違いからそれぞれ印象が異なる。阿川の記す海軍のエピソードはおもしろい。鬼畜米英、敵性国語廃止が言われる当時でも、日常語に英単語を混ぜたり短くして使ったりと、海軍では英語全廃などできなかったという。試験問題もダジャレのようなものも出されて、「六つかしごザル」(六つの菓子があって5匹の猿がいる)、「ドナウ河の水深」(どこの地点の水深かを特定していないことを指摘できるかどうか)など頓知が試される問題は、ユーモアを大事にする英国式が根底にあるのだと。暑いとこういう問題も頭が回らなくなる。常にどういう事態にも対応できる多面思考の能力は、海軍でなくてもあるに越したことはない。
 戦時に関わることは面白いエピソードばかりではない。むしろ、悲惨な話の方が多い。それも時の移ろいと共に記憶から薄れ、忘れられていく。海軍の面白い話からでも、その陰の悲惨を思ってほしい。(大石克子)

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