「ホームラン王おめでとう」。これはもちろん、ファンの皆さんと同じ、感謝の気持ちを込めたエンゼルスの大谷へ向けての祝福だ。「日本人初の快挙」などと、並み居るパワーヒッターを抑えて、大リーグで日本人が頂点に立つことができる模範を示した。
シーズン終盤は、2位に7、8本差をつけたころで「タイトル獲得確実」と報じられながらも、抜かれないかとライバルたちの結果をハラハラしながらチェックした毎日が続き、何とか逃げ切りホッとした。
勝負事に「たら」「れば」は禁物だが、言わせてほしい。けがで約1カ月も欠場があってのタイトル。出続けていたら50本は超えただろう。昨季、ア・リーグ本塁打王でMVPにも輝いたヤンキースのジャッジが9月にけがから戦列に復帰し、打ちまくってびびった。今季の欠場は、大谷の27試合に対し、ジャッジはなんと56試合。ジャッジのけががなければ、29試合で大谷に並ぶ7本を打つことは可能だったと思われ、運も大谷に味方した。
ホームラン王は毎年生まれ、それは打者に限ってのこと。ところが、大谷は打って44本塁打、投げてはメジャー初完封勝利を含む10勝を挙げ、「二刀流」をこなしてのタイトル獲得は偉業。期待がかかる2年ぶり2度目のシーズンMVPが有力視され、今季は2度もめでたいことが見られそうだ。
春先のWBCでは日本優勝の原動力となり、その勢いのままシーズンに入り開幕から投打でフル回転。オールスター戦に出場し、本塁打争いでは夏場に量産し独走するなどファンを魅了し続けた。エンゼルスの選手が本塁打を打った祝福で被るかぶとは、大谷が一番似合っているように見えたのは私1人ではないだろう。
ファンが疲労の蓄積を心配するほど全力で毎試合プレーしたが、終盤にけがを負って以降、復帰できず悔しい思いをした。そして、傷めた右肘靱帯(じんたい)の手術を決断。シーズン終了を待たずして手術を受けたのは、これからのキャリアを考えてのことだろう。来季は残念ながら投げる姿は見られないが、打者に専念してあの豪快なホームランを披露してくれるだろう。(永田 潤)
