皆さんは「Buy Nothing」というグループをご存じだろうか。オンライン上の掲示板を使いご近所さん同士がいらなくなった物を譲り合うグループで、売買により必要な物を手に入れる市場経済に代わり、必要な物があれば求める、不要な物があれば手放す「贈与経済」を実践している。その過程でお金が動くことはなく、物を買う機会を減らす=製造量が減る=捨てられる物が減る、という理念の下、経済的利益ではなく社会と環境への影響に配慮したユニークな活動を続けている。
海岸に打ち上げられた大量のプラスチックごみを見て、物があふれる社会に幻滅した2人の女性が2013年にワシントン州で創設して以来、今では世界中に約13万のグループができ、750万人のメンバーがいる。譲る物が手渡せる距離内でグループを作るのが決まりで、これは郵送用梱包(こんぽう)材のごみを出さないためと、地域住民の交流を促す目的がある。
フェイスブック内の「Buy Nothing」のグループに行くと常にさまざまな物がアップされている。中には半分食べたバースデーケーキやホールピザの残りなどもあって驚くが、いつも「ぜひ、いただきたい!」と複数が返信している。これも、グループ内で信頼関係が構築されている証拠だろうか。
わが家は2年前にメンバーになり、使っていない食品乾燥機やエアフライヤーを譲っていただいたことがある。エアフライヤーは後に不要と判断し、必要な方にお譲りした。最近では、スピーカーのケースを作るのに1メートルほどの布が必要になり「Buy Nothing」で尋ねてみたところ、「うちにある余った布をぜひ使って。残った場合はまた戻してね」との気さくな返事をいただき、必要分だけを使わせてもらった。
譲り受けた後には感謝の気持ちを伝えるのがグループのマナーで、譲った側も、家で眠っていた物が必要とする人に再び使われ、役立つことに充実感を覚えるのだ。思い入れのある物を譲る時は「大切に使ってくれる方に」とのメッセージ付きでサイトに載せるメンバーも多く、やりとりを通じて新たなつながりが生まれている。
今年もあと1カ月となり、年末の大掃除の時期が来た。長年使っていない物などは必要な人に譲り、再び活用してもらえればと思いながら、掃除の手を動かしている。(平野真紀)
