

伝統的な日本家屋には独特の安らぎがあり、それは実際に体験することでしか感じられないものだ。1700年ごろに建てられた3千平方フィートの邸宅が、ロサンゼルスに住む横井昭さんと洋子さん夫妻の寄付によって日本から移築され、10月からサンマリノのハンティントンライブラリーで一般公開されている。
村の行政官である庄屋の住まいだったこの庄屋屋敷は、同時に武士と農民の会合を開いたり、いさかいを裁いたり、人口調査の記録を保管したり、地方税を徴収したりする場所としてコミュニティーセンターの役割も果たしていた。横井家は、日本の行政史の大きな変遷を経て近代に至るまで、約300年間この家の当主として住み続けたという。
昭さんは当家の10代目で小中学校時代をこの家で過ごしたが、祖母が亡くなった後30年近く空き家になっていた。ロサンゼルスに住む横井夫妻は定期的に香川県丸亀を訪れ、建物の維持と保存に努めていたが、ハンティントンライブラリーのロバート・ホリさんとの偶然の会話が、日本の邸宅を南カリフォルニアに移築し、当地で広く一般に鑑賞してもらいながら手入れを続けるというアイデアを生むきっかけとなった。

2016年、夫妻はハンティントンライブラリーに邸宅の寄贈を打診し、7年がかり約1100万ドルのプロジェクトが始まった。邸宅はロサンゼルスに運ばれる前に日本の伝統建築に通じた熟練の職人や専門家による修復が必要だったため、まず18年11月に解体して愛媛県松山市の航空機格納庫に移し、日本の四季と南カリフォルニアの温暖で乾燥した気候の違いを考慮しながら、再組み立てと改修が行われた。松山での10カ月に及ぶ作業の後、邸宅を再び解体して米国に運び、ハンティントンライブラリーで起工式を行ったのは20年8月だった。建物の再建は22年の春から夏にかけて完了し、その後、門番小屋、池、かんがい、そして日本と南カリフォルニアの両方に自生する数々の植物や樹木を配した庭園作りに移った。

一般公開を前に先日2エーカーの広大な敷地で開催された内覧会で、ホリさんは再生された日本家屋の素晴らしさをたたえ、「この邸宅は生きている。木材と天然素材は日中に熱と湿気を吸収し、夜になるとそれを放出する。呼吸しているのだ」と述べた。
庄屋屋敷の一般公開は、サンマリノのハンティントンライブラリー(1151 Oxford Rd.)で正午から午後4時まで。入場料および詳細はウェブサイト—
huntington.org
(マイキー・ヒラノ・カルロス)

