南カリフォルニア詩吟連盟の創立30周年を祝い、国風会の荒木国樟師範の発声で乾杯する参加者

 6流派で構成する南カリフォルニア詩吟連盟は創立30周年を祝う記念吟詠大会をこのほど、モンテベロのクワイエットキャノンで開催した。日頃の練習の成果を思う存分に発揮した会員が約100人を超える聴衆を魅了。構成吟は、各流派からベテランが登壇し「李白の足跡をたどる旅」を披露した。

創立30周年記念大会のあいさつに立つ森川洸龍理事長

 初めに森川洸龍理事長(榧本流米国錦龍吟詠会)があいさつに立ち「当連盟発足以来、早くも30年が経過し、本日ここに記念祝賀会を各流派の師匠、会員の協力と当地の協力者の賛同を得て盛大に開催されたことを関係者一同心よりお礼を言いたい」と、謝意を表した。「詩吟という日本独自の優雅な伝統芸能文化を米国で広げ、末長く継承されることを願ってやまない。皆さんに一層の指導と支援をお願いしたい」と呼びかけた。
 来賓を代表し、日本総領事館の曽根健孝総領事が祝辞を述べた。詩吟について「日本古来の伝統芸能であり、健康のためにも始める人が増えているそうだ。腹式呼吸で大きな声を出し、それがストレス解消にもつながり、さらには脳の活性化に役立つと聞いている。参加者の元気な姿を見て、詩吟と健康の関係性を納得した」と話した。当地に着任して1年がたつ中で「皆さんがさまざまな日本の伝統文化を継承し普及させている。詩吟をする皆さんも非常にがんばっていることを強く感じている」とたたえた。二世週祭で長年開催する吟詠大会を運営する連盟に敬意を表し、「ぜひ、これからも吟じて、さらに健康で長生きするとともに、若い人も含めてさまざまな人々に詩吟の良さを広めるように尽力してほしい」と願った。

連盟の発展に寄与した功労者の表彰。左から仁田尾国康師、森川洸龍理事長、森作国雄師、世木錦光師

 続いて連盟の発展に寄与した功労者を表彰し、森作国雄師(国風会)、世木錦光師(国総会)、仁田尾国康師(尚道会)の3人に森川理事長から記念の盾が贈られた。3人はいずれも、かつて理事長を務め、その後は顧問として連盟を支えている。森作師が代表で謝辞を述べ「30周年の記念大会を開くことができることは、本当に喜ばしく、皆さんの吟に対する真摯な気持ちの表れである」と称賛した。森作師は、信念とする詩吟を継続することで受けられる三つの恩恵①われわれ日本の伝統文化を知ることができる②趣味を同じくする吟友と詩吟のみならず、人間同士の付き合いができる③腹式呼吸による吟詠により健康が増進する上に、その人なりの吟じ方で楽しむことができる—を紹介した。英語が母国語の米国での活動について「日本語主体の詩吟の普及はなかなか難しいが、頑張って人を集め詩吟文化を広めよう」と、士気を高めた。

「武蔵野を賛う」を吟じる伊藤国昭さん(国総会)

 吟詠はまず後藤優龍師(錦龍会)の先導で詩吟連盟会詩を合吟し心を一つにした。その後、各会の吟士が次々と登壇し、日頃の研さんの成果を発揮。吟詠1部は各流派の一般会員が声高らかに37吟を、2部は師範が17吟を朗々と吟じ、吟声を会場の隅々にまで響かせた。構成吟は各会派から選ばれた17人のベテラン吟士が感情を込めた熱吟を披露し貫禄を見せた。
 南加では50年ほど前から流派にとらわれない「連合詩吟大会」が催されていたというが、南加詩吟連盟は1991年に、他流派との交流の活発化と詩吟界のさらなる発展を目指す5団体が集まり組織された。現在は錦友会、国誠会、国総会、尚道会、国風会、錦龍会の6団体から、約120人が所属している。活動は新年会と二世週祭大会を催し、流派の垣根を超えて切磋琢磨し親睦を図っている。

仲島国和さん(左)と仲島国彩さん(ともに国誠会)の連吟「山中の月」

 このたびの節目の記念大会は、毎年催している二世週祭吟詠大会の中で催され、同祭女王とコートが姿を見せ花を添えた。連盟は2021年に30周年を迎えたが新型コロナウイルスの影響で記念大会は2年延期されていた。
 森川理事長は今大会について、プログラムの内容は二世週祭で開いている大会と同様で特別新しいことはないと説明。「大事なことは、毎年詩吟仲間が大会に集まって回を重ねること。連盟は30年以上も活動を続けていてすばらしい。6流派がそろって集まるからこそ、こんなに大きな大会を開くことができる」と、活動の意義を強調した。

佐藤溟水師(錦友会)による「獄裏聴雨」

 森川理事長によると、健康促進のために詩吟を続けている会員が多いという。理事長もその1人で、大病を患って以来ほぼ毎日練習しており「吟じる時に使う時間をかけてゆっくりと息をはく腹式呼吸は健康にいい。大きな声で練習すると気分が紛れストレス発散になる。いい声を出せた時にはうれしくなり、もっとうまくなるために練習する気持ちが湧いてくる」と、詩吟の面白さを強調した。
 森川理事長は詩吟愛好者が減り続けている現状を直視している。「味わいのある詩吟の良さを、詩吟を知らない人、特に若い人に分かってもらいたいが、なかなか難しい。新入会員が望めないとしても、今残っている人だけで楽しくやっていければいいと思っている」と、意見を述べた。

南カリフォルニア詩吟連盟の創立30周年記念吟詠大会の参加者

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