いわゆる二世帯住宅で、気付けばいつも祖父母が生活の中に見え隠れしていたし、家はにぎやかだった。家族の絆は強く、祖父母のめいやおいもよく家に遊びに来た。弟が1人いて、犬が1匹。しかもいとこは18人! そんな私は、完全な一人暮らしが苦手かもしれない。改めてそう思った。
 先日、数カ所のシニアハウジングに申し込みをした。それぞれ順番待ちがあり、少なくとも6カ月から1年半は先の話だが、ロングビーチにあるシニア住宅は、電車の駅が目の前だしユニットに1台分の駐車場が付いてくるので、アクティブな生活を送ることができそうだ。二つ目はカーソンで、アーティストは順番が優先されるという。素人でもいいと言うので日本舞踊と三味線の経歴を恐る恐る提出したが、果たして効果はあるのか。ここでは私が気楽に過ごせるタイプの人たちに出会えるかもしれないと期待が持てる。
 そして最後は皆が知っている小東京タワー。仕事柄馴染みのある地域だし歩いて日系食料品店に行ける。小東京に住んだら「アジア系のシニア同士の合宿所生活みたいな感じかな」と勝手な想像を巡らせている。
 こんなことをしながら、いつの間にか長くなった人生を振り返ったら、22歳で東京の実家を出てからざっと17回も引っ越していた。場所はニューヨーク、パリ、堺(大阪)、東京、サンクレメンテ(オレンジ郡)、ロサンゼルス。そして、そこにはいつも誰かがいた。ルームメートだったり、ボーイフレンドだったり、結婚相手だったり、子どもだったり。今は1軒家に部屋を借りているが、大家さんやハウスメートの気配を感じることができる。つまり全く1人ということがなかった。これはちょっとした驚きだ。だから、完全なる一人暮らしには、正直、少しだけ恐れを感じている。果たして私は一人暮らしができるだろうか。皆さんは寂しくなりませんか?
 何より人の気配はありがたい。それは新型コロナの隔離された生活で学んだことでもある。家族、仕事や趣味の仲間と、あるいはご近所さんと交わす毎日のあいさつも含め、誰もが日々の生活の中で複数のコミュニティーに属しているし、それが生活を輝かせる。
 年を重ねて移動の手段や意欲や健康に制限がかかるようになったとしても、孤独にならないことは大切だと思う。(長井智子)

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