母は次女の私を産んだ時「ああ、この大変な思いをもう一度繰り返すのか」とまず最初に思ったそうで、家族内の笑い話になっている。長男の家に嫁いだ母は、跡継ぎに男の子を産むことを期待されていたが実現せず、父は私を「真紀助」と呼んで育てた。
このような環境が影響したかどうかは分からないが、姉が長男の家に嫁いでからは特に、平野の名字を残したいと思う気持ちが私の中で強くなり、結婚後も名前を変えないでいる。私たちの息子は平野家の6代目で、アメリカに住んではいるものの、跡継ぎができたことを私の両親も喜んでくれている。
日本で今月8日、夫婦別姓を認めない民法の規定は憲法に違反するとして、結婚後も旧姓を使えるようにする「選択的夫婦別姓制度」の導入を求め、男女12人が国を相手取り裁判を起こした。世界の多くの国では、女性の社会進出に伴い夫婦別姓が取り入れられるようになり、現在、夫婦同姓のみしか選択できない国は日本だけだという。ジェンダーや人権における不平等さを問題視し、国連からも制度の改善が勧告されている。
法務省が実施した調査では、名字の変更で不便・不利益を感じる具体的な内容として、実家の名字を残せなくなることから婚姻を妨げる、と答えた人が28%いた。最多は、名字を変更した側のみに名義変更の負担があるとの答えで、その他、仕事の実績が引き継がれないなど職業生活上の不利益がある、自己喪失感や心理的負担が生じる、という答えだった。
厚生労働省の統計によると、日本では妻が夫の姓に変更した夫婦が全体の96%を占め、妻の姓を選んだ夫婦は4%にとどまる。もちろん、結婚して夫の姓になることに喜びを感じる女性は多く、私の日本の友達も大半がそうだ。
選択的夫婦別姓制度は、別姓にすることを選択できる制度なので、夫婦で同じ姓を名乗る現在の夫婦同姓も選択できる。それなのに導入を妨げるのは、明治時代に確立された「家制度」の名残や、別姓にすることで家族の一体感が薄れるかもしれないという危惧のためだという。
日本は昨年、世界各国の男女平等の度合いを数値化した「ジェンダーギャップ指数」の順位が過去最低になった。選択的夫婦別姓の導入は、女性が活躍できる社会の実現にもつながるのではないだろうか。(平野真紀)
