かなり年の離れた愛妻に唆されてフィットネス・クラブのブートキャンプに登録してしまった。毎週1回、数人の人たちと一緒に筋肉トレーニングをする。
若者、中年の男女に混ざって、車椅子で、お孫さんらしき女性2人が付き添った(インストラクターによると)91歳のアジア系男性も参加していた。
バイオロジカル・エイジは、齢(よわい)を単純加算する年齢とは別ものだ。彼から見ると、私なぞはまだまだヒヨコだ。負けてはいられない。プッシュアップ、スクワット、TRXと30分間、汗を流す。そのあとのサウナとジャクジーは草津の温泉よりいい。
日米両国で高齢者向けの本が売れている。日本では内館牧子著の「迷惑な終活」。米国ではC・ミーンズ博士著の「Good Energy」。「終活」とは「人生を終えるための準備」をすること。前者は、お年寄りを上げたり、下げたりする世相に反発して「終活は高齢者の趣味ですわ」と言い放つ。一方、後者は、メタボリズムと寿命との驚くべき相関関係を科学的に立証しつつ、老後の実りは20代、30代からの生きざま(食事、運動、睡眠、学習、精神修養、奉仕など)で決まる点を強調している。つまり「終活」は高齢者だけでなく、今ぴんぴんしている若者の問題でもありますぞ、と警告している。
一つ共通しているのは、香りも味もなくなった「出がらしのお茶」だからこそ、高齢者にはそれなりの楽しみ方があるというご託宣だ。
最近他界した俳優の西田敏行さん(享年76)は病床で「どう人生を畳むか、毎日考えている」と漏らしていたという。過去を振り返り、役者としてのイメージを壊したくないという生きざまを感じる。緞帳(どんちょう)は格好良く降ろしたいものだ。
「終活」は人それぞれ、やり方がある。要は、人間、一番可愛いのは自分自身。前述のミーンズ博士は、「自分のことは自分が一番知っているはず。だから死ぬ寸前まで自分を愛おしく思い、愛しなさい」と諭している。(高濱 賛)
