キナガさん(左端)の立ち合いの下、任務の全うを誓う大谷会長(左から2人目)ら2025年度の役員

 南カリフォルニアで活動する37の県人会が加盟する南加県人会協議会は9日、2025年度の役員就任式と親睦会をモンテベロのクワイエットキャノンで催し、大谷喜平会長(愛媛県出身)をはじめとする新役員10人が誕生した。大谷新会長は各県人会との親睦はもとより、日系諸団体との交流を図ることにより日系コミュニティー全体の発展を目指すことを誓った。

顧問のリチャード・ワタナベさんの音頭で乾杯する参加者

 大谷会長が役員1人ずつをステージに呼び上げ、全員が宣誓に臨んだ。弁護士のパトリシア・キナガさんの立ち合いの下、任務を全うすることを誓い正式に就任すると、約160人の参加者が日系社会からの期待を込めた大きな拍手を送り、新役員の門出を盛大に祝った。

 就任のあいさつに立った大谷会長は「このたび、南加県人会協議会の会長に就任した、先祖がドジャースの大谷翔平の親戚かもしれない大谷喜平です」と、冗談を交え自己紹介し、会場を笑いに包んだ。「在任中は最善を尽くし、これからも南加県人会協議会に加盟する全ての県人会と、他の日本人コミュニティー、日系米国人コミュニティーの諸団体との親睦を図りたい」と強調した。

就任のあいさつを行う大谷新会長

 ロサンゼルスとその近郊で発生した山火事に触れ「甚大な被害を出し、私の親戚と友人の中には避難したり住居を失った人がいた。被災者にお見舞いを申し上げたい」と述べた。日本政府が被災地復興支援のために米国赤十字社に200万ドルを寄付したことに対し「われわれのロサンゼルスのために支援してくれた日本政府と曽根健孝総領事に心より感謝したい」と語った。
 自身の生い立ちを日本語で紹介し、「私は4歳の時に愛媛県から家族と共にロサンゼルスに来たため英語が母国語であるが、現在はAIの発達のおかげで言葉の壁を超えたコミュニケーションやコラボレーションが可能になった」と語り、言葉の壁を超えた日本人と日系米国人の連携に意欲を示した。現在会長を務める愛媛県人会や県人会協議会、そして他の県人会と関わるようになったことで、「日本語と日本文化を多く学ぶことができた。私のゴールは、若い日本人と日系米国人のコミュニティーが互いの得意分野で協力し、日本の文化や伝統を未来へ伝えること。互いの長所を認め合い、よりいっそう協力し合って互いを豊かにし、より強固なコミュニティーを築いていくことを願っている」と力強く語った。「南加県人会協議会が創造的でより望ましく発展するために、これからも皆さんの指導を仰ぎたい」と求め、「南カリフォルニアの日本人と日系米国人が力を合わせ、素晴らしいコミュニティーを作ろう」と、呼びかけて、あいさつを締めくくった。
 来賓を代表し、南加日系商工会議所の竹花晴夫会頭と、アル・ムラツチ加州下院議員、県人会協議会名誉会長の曽根総領事が、それぞれ祝辞を贈った。3氏は、日系社会と米国国家に対する県人会協議会の多大な貢献をたたえた。また、北垣戸和恵前会長ら前年度の役員とボランティアの労をねぎらい、大谷新会長と新役員、県人会協議会の前途を祝した。
 昨年度の役員に対する表彰式を開いた。北垣戸前会長とケースビア章子前副会長、大谷前会計担当(今期会長)にそれぞれ、表彰状と記念の盾が贈られた。

「自分の県では、どういう人がもてるのか」を、お国言葉を使って紹介した宮城県人会の小川桂会長は、「口は出さずに、金はいっぱい出す」と述べ、会場の笑いを誘った(中央)

 37県人会の会長が一人一人紹介されてステージに並び、大きな拍手が送られた。また、「自分の県では、どういう人がもてるのか」を、お国言葉を使って紹介した。宮城の小川桂会長は「口は出さずに、金はいっぱい出す」と披露して会場の笑いを誘った。栃木の佐藤芳江会長は県特産のブランドいちご「とちおとめ」のPRにかけて「おもしろい人で、いちごが好きな人がもてる。これからの人生、一期一会を大切に」としゃれを効かせ、司会者を「うまい」とうならせた。東京の山﨑一朗会長は「東京は方言がないので」と断りながらも、「しらき(開き)直っていきたい」と「し」を「ひ」と発音することがある江戸っ子風で沸かせた。英語が母国語の県人会長の多くは、英語で県自慢や名所、名産品を紹介した。神奈川のジェニファー・カワセ会長(日系4世)は写真と絵を組み合わせ、横浜のカップヌードルミュージアムや小田原城、小田原かまぼこ、鎌倉の大仏や鳩サブレーを紹介。さらに葛飾北斎の「冨嶽三十六景」の大波にサーファーを乗せて湘南海岸をアピールすると大きな拍手を受けた。
 この日、晴れて就任した大谷新会長は「37の加盟県人会に加え、日系諸団体と良好な関係を築いて日系社会を発展させたい」と抱負を語った。「これからまず、各県人会と、協議会への加盟で生まれる恩恵について話し合う」と言い、膝を突き合わせた一対一、もしくはグループによる面会を行い関係強化に努める。また、対話を重ねることの重要性を説き、「コロナ禍では対面が制限されたため、バーチャルによる集会が頻繁に行われたことで、皆で助け合い密接な関係を築くことができた」と過去の事例を振り返った。さらに、若者の関心を集めるためには、県人会協議会で最も成功している事業の一つである奨学金制度の「さらなる充実が必要だ」と言い切った。会員数の減少に悩む県人会については、世代交代をうまく進めている一部の県人会の好事例に見習うべきところがあるとした。自身の愛媛県をはじめ神奈川、群馬、広島、山口、沖縄の各県人会は「日本語を母国語としない、英語を話す世代の会長や役員がもはや運営を担っている。さらに、母県の文化や習慣を取り入れ、若い20代、30代を取り込もうと努力している」と高く評価し、活路を見出せるとした。

昨年度の役員に対する表彰式。左から北垣戸前会長とケースビア前副会長、前会計の大谷会長

 県人会以外の日系諸団体との交流については、「小東京を拠点に次世代の若いリーダーを育てる非営利団体『絆』などと連絡を取り合い、若者との交流を活性化させ、若い経営者らとも意見や知識を交換し、日系社会の未来の土台を作りたい」と語った。日本人の親睦団体が抱える高齢化問題については、日系社会の高齢者とその介護者を支援し、さまざまなプログラムを実施する非営利団体「Keiro」や、日本語でも社会福祉サービスを提供する「リトル東京サービスセンター」などと手を組み、セミナーなどのイベントを催す意向を示している。
 大谷会長は、「新1世、日英バイリンガルの新2世、そして4世、5世の若い日系人に、県人会協議会や各県人会のイベントに参加してもらいたい。日本人と日系米国人のコミュニティーが互いの個性を尊重し、より緊密に連携できる環境づくりに取り組み、さまざまな改革やアイデアを模索し、次世代の県人会のメンバーを育てていきたい」と、抱負を語った。
 役員就任式を終えた県人会協議会の今年の活動は、活動資金集めのゴルフ大会(5月2日、カリフォルニア・カントリークラブ)、敬老会(9月13日)、親睦演芸会と奨学金授与式(10月)、親睦ボウリング大会(11月)を予定する。 (永田潤、写真も)

写真と絵を使って名所や名産を紹介する神奈川県人会のカワセ会長(中央)

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