
ウェストロサンゼルスの「ソーテル日本学院(JIS)」がこのほど、「創立100周年」と「校舎改築記念」の式典を開催した。100年の歴史を支えてきた日系コミュニティーの支援者、学校関係者、ロサンゼルス市議、そして142人の在校生と保護者が体育館に集まり、記念すべき日を明るく祝った。また、2年越しで進めてきた全日制幼稚園「テラサキ日本語イマージョンプリスクール」の開校準備に伴う改築工事の完成が報告され、真新しい校舎のお披露目も行われた。(長井智子、写真も)

JISは1925年11月、創立者・坂本儀介氏が自宅を使って4人の生徒に教えたのが始まりとなり、以来、日系人子女への日本語教育と日本文化の継承を目的に発展を遂げてきた。現在は3歳から18歳までの生徒が週末に通学している。
式典では、長年にわたり寛大な支援を行ってきたテラサキ・ファミリー財団のポール・テラサキ氏、ロサンゼルス市議トレーシー・パーク氏、在ロサンゼルス日本総領事館の青島尚重首席領事が来賓として登壇し、祝辞を述べた。また、ロサンゼルス市からの貢献表彰が行われた。校舎改修期間中に仮校舎の場所を提供したウェストロサンゼルス仏教会(西羅府仏教会)にはJISが感謝状を贈り、深い謝意を示した。
西羅府日系社会の中心に
根づいた「学びと交流の場」

創立者の孫であり理事を務めるランディー・サカモト氏は、スライドを用いながら学校の歩みを紹介。戦前の校舎完成(29年)から、戦時中の42年3月、地域の日系人がJISに集められ、バスに乗せられてマンザナー収容所へ向かった記憶、戦後の再開、そして2015年に「ソーテル・ジャパンタウン」として街がロサンゼルス市に認定されたことまで、JISが日系社会の中心であり続けた歴史を語った。
校舎の改築プロジェクトは、カスロフ財団やテラサキ・ファミリー財団など多くの支援で実現した。ポール・テラサキ氏は、財団創設者の祖父母や父が日本文化とのつながりを大切にしていたと語り、「私たちが学べる環境、将来の世代が学べる環境を提供してくれる日本語学校は大変重要」だとして、JIS支援の意義を強調した。また、JISに通っていたテラサキさん自身の経験を振り返り、「出会った人々や文化活動は強く印象に残っている」と述べ、まもなく始まる全日制プリスクールへの期待を語った。

青島首席領事は、「100年という節目は、日本語と日本文化を次世代に伝え続けてきた証」とし、戦争を乗り越え、JISが学びと交流の場として地域に根付き、ロサンゼルスにおいて日系コミュニティーの理解と発展に大きく貢献したことに敬意を表した。マンザナーの日系人収容所にあっても教育の灯を絶やさなかった日系人の精神をたたえ、「教育と文化継承への熱意は今もJISに受け継がれている」と述べ、その貢献を高く評価した。
同窓生が笑顔で回想
思い出の大切な学び舎
会場にはかつてJISに通った同窓生たちの姿も見られた。

「7歳で収容所に行って、10歳でこの町に戻ってきて、JISに通い始めた。その頃のことはよく覚えている」。そう語るのはジューン・エミコ・フジモトさん。「こんなに長く生きて、100年祭を見ることになるなんて思わなかった」と笑顔を見せた。
45年に日系人が収容所から解放されると、各地の収容所、あるいはコロラド州など収容を避けるための疎開先だった場所を出て、人々がソーテルに戻ってきた。帰郷する人の数は徐々に増え、友人もできていった。
フジモトさんと共に式典に参加したアヤコ・マサダさんの2人は当時からの親しい友人同士で、互いの家も近かったという。
「学校は(単なる学びの場ではなく)、家族ぐるみで集まる社交の場、まるで一つの共同体のようだった。放課後にも通っていたし、当時は偏見も残っていたため、戦後しばらくは日本人同士で一緒に過ごすことが多かった」
2人は当時の思い出を語り合いながら、遠く過ぎ去った日々を懐かしんだ。

フジモトさんはまた、父親についても語った。
「父は、私たちに自分たちのルーツを誇りに思うようにしてくれた。父は、(収容所に行く際にも)何の書類も燃やさなかったし、何も埋めなかった。『いつか必ず戻ってくる』と、そう言っていた」
信じていた通りに家族はソーテルに戻り、そしてJISは子どもたちにとって、大切な学び舎、そして心のよりどころとなった。
ある保護者の男性は「父が通い、私も通い、そして今では息子がこの学校に通っている」と語り、JISの100周年について「世代を超えたつながりを感じる」と言う。
「周りを見渡すと近所の景色はすっかり変わってしまったが、JISは過去と私たちを結びつけてくれる存在。そして、これからも未来へとつながっていってほしいと願っている」と思いを込めた。
JISと共に生きてきた人々にとって、時の流れの中で移ろうものと、変わらずにそこにあり続けるもの—その両方を胸に刻む1日となった。
高橋校長「世代を超え集う場を」
新たな100年へ歩む

現在、地価高騰などの影響でソーテルに住む日系人は少ないが、週末には多くの親が子どもを連れてJISへ通う姿が見られる。祖父母、父母、おじ・おばがかつて通った同じ門を、今の生徒たちが通っていく。それが現在のJISの姿である。
式典では、生徒たちが花束贈呈や歌、踊りなどのエンターテインメントを披露した。低学年の子どもたちの一生懸命の歌声や、法被姿の高学年生による「ソーラン節」のダンスは会場に活気をもたらした。
真新しい教室の見学者らはスカイライトや木のぬくもりを感じるデザインに感心し、幼児らは砂場や遊具に夢中になった。90周年時に教壇に立っていた元教師のエイジ・サカモト氏も校舎の変化に目を細め、「古さが消えてすっかり明るくなった」と感慨深げに語った。
JISの高橋美和校長は式典後、「これまでの100年に感謝し、今日から新しい世代のための100年を築く」と未来を見据え、「笑顔あふれる子どもたちの姿を地域に届け、世代を超えて集える場を作りたい」と語った。
新たに始まる全日制プリスクールを皮切りに、JISは新しい100年へと歩み始める。
