週に2、3日はまだ出勤している。出勤させてもらっているといった方が正しいかもしれない。
自分の仕事が、職場でどれほど役に立っているのか考える時があるが、場合によっては若い同僚の言葉や行動、判断が危なっかしいことがあり、つい口や手を出してしまい、こんなことを書く年齢になってしまった自分に驚く今日この頃である。
車の運転はとっくの昔にやめてしまった私にとって、市営のバスや電車が街を縦横に走っているシカゴは、待ち時間さえ気にしなければ住みやすい土地である。
出勤の朝、駅に入ると顔なじみの女性の駅員がブースから出できて、私のためにエレベーターのボタンを押してドアを押さえてくれる。「ありがとう、今日も良い一日を」と声を掛け合い1日が始まる。電車とバスを2回乗り継ぐ1時間ほどの通勤の間に、いろんな人種や生活環境の人々に出会う。
駅の出口からバス停までは100メートルほど離れており、タイミングが悪いと乗り継ぎのバスを逃すことがたびたびだが、先日はダッシュができなくなった私のために、運転手に声掛けをして、バスを止めてくれる若者がいた。見た目はひげが顔の半分を覆い、ちょっと見は強面だが、「ありがとう」と言うと、「間に合ったね」とにっこり。
シニアや身障者用の優先座席は乗降口に近いところに用意されていて、ラッシュアワーに乗り込むと、若い人たちがすぐに立ち上がって席を譲ってくれる。どうやら一度も染めたことのない白髪頭がものを言うらしい。
次のバス停で髪を染めて若々しい装いの女性が乗車してきたが、どうも足元がふらついていて、バスの振動にヨタヨタしているので、席を譲ろうとしたところ、「私なら大丈夫!」と一喝された。どうやら白髪頭に席を譲られてムッとしたらしい。目が合った向かいの席のシニアが、ウインクを送ってきた。
バス停で運転手にお礼を言って下車すると、登校児童の安全のためにストップサインを下げた女性が、私のために車を止めて、広い交差点を渡してくれた。
「ありがとう」とお礼を言って、無事職場に到着。
親切に支えられて私の一日が始まる。(川口加代子)
