「花鳥風月」を五体書で表し、それぞれの書体の説明を行う会員。左から草書の佐々木みかこさん、行書のマホニー由紀さん、楷書の石黒洋子さん、隷書の岡田直子さん、篆書の塚原和子さん

 2週にわたりさまざまな催しが行われ、8月23日に閉幕した二世週祭は、祭りの趣旨に日本文化と日系人文化の紹介を掲げている。その一つの日本の伝統文化の展示と実演が15、16日と22、23日、日米文化会館で催された。書道、生け花、茶道、木目込み人形、盆栽、陶芸、金継ぎの各分野で作品紹介と実演が行われ、大勢の来場者が鑑賞し伝統文化を体験した。            (永田潤、長井智子)

熟練会員が模範実演

50点の力作を展示

米国書道研究会

 米国書道研究会は22、23日、作品展示とデモンストレーションを行った。二世週祭恒例の毛筆体験では、興味津々の来場者が会員の指導を受けながら、漢字一字を慎重に書き上げた。

デモンストレーションで「鼓動」を揮毫するするランディー山本さん

 壁一面に展示された大小約50点におよぶ作品は、今年、東京の上野の森美術館で開催された誠心社現代書展と、東京・六本木の国立新美術館で開催された第42回産経国際書展新春展に出展した入賞作を含む力作が並んだ。

 デモンストレーションは2日で3度行い、熟練会員が模範の書を披露した。まず、5人の会員がそれぞれ一つの書体を担当し、「花鳥風月」を草書、行書、楷書(かいしょ)、隷書(れいしょ)、篆書(てんしょ)の「五体書」で表し、それぞれの書体について説明した。次に誠心社現代書展や産経国際書展新春展で受賞歴を持つ塚原和子さんが「清心」、河上紋子さんが「妙」、理事長を務めるランディー山本さんが「鼓動」、ラモス逸子さんが「天馬行空」を現代書で表現した。勢いのある筆致で躍動感あふれる作品を仕上げると、会場は大きな拍手に包まれた。

来場者の書道の体験で指導するランディー山本さん(左から2人目)

 米国書道研究会は昨年、創立60周年を迎え、日米合同書展を催し盛大に祝った。創立者の生田観周師と妻・博子師の功績をたたえるとともに、米国で日本の書道の普及に務めた同会の活動を振り返った。今年1月に生田博子会長が亡くなり、会員は遺影を前に、両師の遺志を継ぎ活動を継続することを誓い合った。

 現在、会には46人が在籍する。ロングビーチの教室で月1度稽古に励む一方、各所のイベントで書道の紹介に努めている。小東京で元日に開かれる正月祝賀イベントを1年の皮切りに、桜祭り、二世週祭、トーレンス文化祭、アニメエキスポ、アーバイン・グローバルビレッジ・フェスティバルに参加。小中学校や日系のコミュニティセンターなどでも実演や体験イベントを実施している。

 山本理事長は「今後も精進を続け、さまざまなイベントに参加し、日本文化の美しさを、書を通して紹介していきたい」と抱負を述べている。

池坊、小原、草月が合同展示

夏の花材を生かし秀作32点

いけばな教授会

 南カリフォルニアで活動する生け花の3流派の教授者で構成するいけばな教授会(武市玉春会長、草月流)は15、16日、合同展示を催した。二世週祭恒例の展示は、夏の旬の花材が多く見られ、ダリヤやウイキョウ、アジサイなどを使った、夏らしい作品が会場を彩った。

池坊、小原、草月の3流派の作品を鑑賞する来場者

 池坊13人、小原流6人、草月流13人を合わせた32人が、古典からモダンまで精魂込めて生けた作品を披露した。池坊は伝統的な立花、生花、自由花の各スタイル、小原流は自然の景観を器の中に再現するランドスケープスタイル、草月流は誰でも、いつでも、どこでも、どんな素材を使っても自由に生けるスタイルで、それぞれの流派の特長を生かした作品が並べられた。

 経験豊富な教授陣の作品は、花材や花器、表現技法も異なるが、どれも目を見張るものばかりで見る者を圧倒した。来場者は気に入った作品を写真に納めたり、一緒に写真に入ったりする光景が見られた。生け花を学ぶ生徒も鑑賞に訪れ、師匠や他流派の作品から多くを吸収した。

 武市会長は、展示について「二世週祭らしく夏の季節の材料をうまく使った作品を展示することができた。先生方だけの展示会なので、非常にレベルが高く、来場者に喜んでもらえたと思う」と胸を張った。流派を超えた交流については「日本の伝統文化である生け花を米国で広める趣旨は同じなので、3流派が切磋琢磨して生け花の魅力を発信し続けたい」と抱負を述べた。

 いけばな教授会は、いけばなを通して日米の文化交流に務めることを活動の目的に掲げ、流派を超えて活動する。1月の日米文化会館が主催する事始めでの花展、新年親睦会、4月の仏教会の花まつり、8月の二世週祭の展示を主な活動とする他、日本総領事館やジャパン・ハウス、日系団体からの依頼を受け、大きなイベントでは3流派が順番で作品を展示している。

 薄茶を受け取るロサンゼルス名古屋姉妹都市委員会の照子ワインバーグ委員長(右から2人目)と名古屋市の杉野みどり副市長(左隣)

若い世代が初の点前披露

茶の湯の世界を紹介

表千家同門会米国南加支部

 表千家同門会米国南加支部による茶道実演では、薄茶の「扇棚」の点前を披露。茶道具や所作の意味を英語で解説しながら、来場者に茶の湯の世界を紹介した。指導したポンチャー義子さんによると、この日の7人は公の場での実演は初めてで、4月ごろから稽古を重ねてきたという。

点前を披露するシオ・イワイさん

 ロサンゼルス生まれのシオ・イワイさん(18)は茶道を始めて約1年半。「最初は緊張して震えていたが、始めるとリズムに入り、これまでの稽古を思い出して点前に集中できた」と「初舞台」を振り返った。茶室でのデモンストレーションの後、椅子席の観客に菓子とお茶が振る舞われた。

 姉妹都市・名古屋市から二世週祭に参加した杉野みどり副市長も茶席を体験。「日本でもなかなかお茶席をいただく機会がないので、アメリカに来て日本文化を体験するのはとても不思議な感じ」と話した。さらに両市の高校生交換事業など長年の交流に触れ、「人の力でこうやってずっと絆を築き続けているということがとても心に残った」と語った。

花魁道中を華やかに再現

元禄時代をテーマに作品展示

木目込み人形「ゆかり会」

木目込み人形の作品を鑑賞する来場者

 金坂ゆかりさん、健さんが主宰する木目込み人形の「ゆかり会」は今年、「花魁道中」と元禄時代をテーマに作品を展示。中でも目を引いたのは、3体で花魁道中を表現した作品で、両側の2体には実際の花嫁衣装の打掛の生地を使い、絹の華やかな柄を生かして仕上げた。会場には元禄時代を題材にした人形や獅子舞、今年の干支にちなんだ木目込の馬なども並んだ。体験コーナーでは参加者が夢中でキーホルダー作りを楽しむ姿が見られた。

 約40人が学ぶ同会は、ロングビーチ、オレンジ郡、サンファナンドバレーで教室を開く。今年は久月人形学院の東京での展示に向け、「アメリカンお盆」をテーマにした創作人形も制作。盆踊りや太鼓、いなりずしを食べる姿など、米国の日系社会ならではのお盆風景を表現する作品だという。また、金坂さんは真多呂人形の教授も務めており、9月の真多呂の作品展には「二人三番叟」を出品するほか、弟子も大作「鏡獅子」を出品する予定という。「鏡獅子」の衣装には本金を使った刺繍が施されているといい、日本での発表に向けて制作を進めている。

いけばな展を開いたいけばな教授会。前列左から5人目が武市玉春会長
表千家同門会米国南加支部による実演と呈茶

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