Posted inコラム&エッセー

音楽の散歩道:音楽と政治

【小川弘子】

 音楽は国境を越えて人々の心をつなぐ、音楽は世界共通語(Universal language)である、などという表現は、平和な戦争のない状態でしか通用しないのでしょうか?

 今回のロシアがウクライナに侵攻した戦争で、驚くほどすぐにニュースとして報じられたのは、ロシア人指揮者ヴァレリー・ゲルギエフについてでした。プーチン大統領とは1990年代から親しく、サンクト・ペテルブルクにあるマリンスキー劇場の音楽・芸術監督として、プーチンのサポートを受け、政治的にはその発言などでプーチンをサポートしてきた、親プーチンの象徴的存在です。現役最高峰の指揮者の1人としては、世界中のコンサートホールや歌劇場で引っ張りだこの、まさしく国際的スーパースターです。