2020年はコロナに始まり、東京五輪は1年の延期を余儀なくされた。その間にわれわれはさまざまなドラマと葛藤を目撃するわけだが、その多くは利権問題、主催国日本における責任者たちの辞任と辞退の連続劇で、五輪のシンボルが示すテーマ「世界」(5大大陸の連結)とは程遠い内容になってしまった印象が強い。もちろん、それらを引き起こした要因にパンデミックが加担したことも紛れもない事実である。ただ、今回の五輪は無観客だったことも手伝って、主役の座は、アスリートたちと言うより、五輪を取り巻くさまざまなものたちだったように思う。その中で世界は聖火リレーを通して、次の五輪へ、どんなメッセージをタスキに託すことができたのだろう。
また、2016年から15年かけて国連が推奨するSDGs、それは、17個のSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を意味するが、五輪に持続性を求めるのであれば、それらのゴールは少なからず関連性があるもので、貧困、健康、教育、平等、環境安全、技術、平等、エネルギーなど、どれも必要だと考えられる。その持続可能な社会作りをスポーツという観点から掘り下げたいと思う。【河野 洋】