やっと、夏らしい暑さになってきた。もう7月、七夕がやってくる。織姫と彦星が年に一度逢えるロマンの日。
 3回目を迎えるLAの七夕祭りまで、あと1カ月半弱。3月11日の大震災後の自粛ムードで仙台七夕の開催も危ぶまれたが、復興のために盛り上げようという機運の高まりで開催が決まり、LAでも復興支援に七夕祭りを盛大なものにしようとしている。
 あちこちから飾りを作っているという話がきこえてくるが、参加登録数はまだ100にも満たない。3回目にもなると、作るコツが分かってきているのと、材料も前年の残りや工夫した物を利用してなど、それぞれで進めているところも多いことだろう。交番に行かなくても材料はそろっている。登録は出来上がってからと、ゆっくりしているのだと思う。
 リトル東京にある羅府物産のショーウィンドウに七夕飾りが展示されている。全くの厚意によるものだが、大震災被災者への祈り、七夕祭りへの参加も呼びかけている。道行く人は立ち止まって見入っている。
 「きれいな飾りがあるよ」と見た人から人へ、口伝えに広まっている。日本での七夕の光景をちょっと思い起こした人もいるかもしれない。商店街の軒や電信柱などに立てかけた竹に大きな飾りが揺れる。吹流しを触りながら通りを歩くのが楽しかった。その楽しみがないのが物足りないが、致し方ない。
 現在の七夕祭りは、棚織津女の話と中国の牽牛星と織女星の伝説が合わさって生まれたとされている。笹竹に願い事を書いた短冊で飾る。
 実家のある岩手では、7月7日は七日日(なのかび)と言って7回食べて、7回水浴びをして7回着替えをするとよいといわれ、農作業も休む日だった。そうめんなどの麺類と精進料理を食べた。七日盆ともいって、朝には墓掃除をする。祭りの翌日には、川や海に笹竹や飾りを流してケガレを祓った。
 いつの頃からか、河川が汚染されると流すことができなくなった。時代とともに、祭りの様相は変わってくるものだ。LAはLAの祭りにすればいい。多くの人が参加し、願いを込めて賑やかに。そのエネルギーが大きな力になり復興支援にもなると信じている。【大石克子】

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