15日に日米文化会館で行われた角田さんの上映会と講演会

被災地の現状を説明する角田さん

 昨年3月11日の東日本大震災発生以来、被災者のニーズに応えようと、千葉県柏市から計17回被災地に足を運び、ボランティアを続けている角田寛和さんがこのほど、訪米した。角田さんは「被災地の現状を知って」と、ロサンゼルスなど計6カ所で自身が撮影したビデオを上映、被災地に今必要なものは、「精神的支援」と呼びかけた。
 「ちょんまげ隊のツンさん」として知られる角田さんは、その名の通りちょんまげのカツラをかぶり、よろいをまとい被災地を回る。その理由を、「どんな状況でも、笑いとユーモアは大切だから」。また、他に例を見ないサムライ姿であるがゆえ、現地の人に名前を覚えてもらえ、ボランティアしやすい環境ができるという。
 靴屋を営む角田さんは、震災後靴を届けに訪れた避難所で出会った少年と「また戻ってくるから」と指切りしたことを機に、支援活動を続けることを決意。これまで、被災地のニーズに合わせた物資の寄付などを行った。上映会では、その間録画した被災地の状況、被災者の表情、刻一刻と変化する被災地のニーズなどを上映した。
 震災後、「被災の話とがんばっては被災者を傷つけるから禁句」と広がったが、ビデオには、被災者から「聞いてほしい」と話してくるシーンもあり、角田さんは、「がんばってと言われて傷つく人がいるのも事実だけれど、がんばってに励まされる被災者がいるのも事実」と訴え、「避難所で生活していた人はとてもタフ。だからこそ、『大変でしたね』と寄り添って声をかけることが大切」と、自身の経験から話した。
 また、現在被災地に必要なのは物資ではなく「明日もがんばるぞ」と思わせるやる気や刺激といい、角田さんは、「魚ではなく、釣りざおを与える時期」という。われわれにできる一番の支援は、「東北に行って何もしないこと。現地の民宿や漁業は開業し始めています。ただ、お客さんがいないんです。なので、皆さんがお客として現地の民宿に宿泊し、現地の料理を食べることで、被災者の方が『明日もお客さんのためにがんばるぞ』と思えるように貢献してください」と訴えた。
 一方、支援する側にも支援継続のための刺激が必要と言う。「自分が寄付したお金が何に使われたか知らないと、支援しようという気持ちが薄れてしまう」。角田さんは、「例えば、一人5000円の寄付をしました。その集めたお金で被災地の子供たちをディズニーランドに招待できたとします。ボランティアが子供たちのはしゃぎまわる姿や、帰りのバスでぐっすりと眠る子供たちの映像を撮影し、後に報告として上映会をすれば、自分の5000円で子供たちをこれだけ幸せにできるんだと思え、支援する側のやる気も上がります」。
 角田さんのやり方は実にシンプルだ。「ニーズを確認し叶える。喜ばれる。自分のやる気が出る。もっと助けようと思う。それだけのこと。何か大きなことをしようとは思っていません。被災者からのニーズに一つひとつ応えているだけ」と話した。
 講演会を通じ、(1)被災地の現状を理解してもらう(2)支援策をともに考え、行動を起こしてもらう―を訴える。「僕一人の力は微力でも、何人か集まれば大きな力が生まれる。私は、多くの方を巻き込みたいんです」
 15日に日米文化会館で行われた同イベントは、角田さんの熱意に共感した非営利法人「日本再生研究会」(目良浩一会長)が協力を申し入れ実現した。同会会員でトーレンス在住の陶守倶行、美江夫妻は講演会を聞き終え、「彼のパワーに圧倒された。来月日本へ行くので東北に立ち寄り、『何もしない』予定を立てるつもりだ」と話した。
 角田さんの活動の一部はブログで紹介されている。
 http://ameblo.jp/piroponpin/entry-10940136230.html
【中村良子、写真も】
ちょんまげ隊のメンバーと日本再生研究会の会員ら

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