低所得者の食料補助を目的に農務省(USDA)が実施している公的扶助のひとつ、フードスタンプを不法に売り、現金を得る人がいることが問題視されている。
フードスタンプは全米でおよそ4600万人に支給され、その総額はおよそ750億ドルにも相当する。
カリフォルニア州では「CalFresh」と呼ばれ、ロサンゼルス郡では100万人以上の人が受給申請を行っている。受給資格の設定は各州に任されているため、その額は月額200ドルから1500ドルとさまざまである。
受給者にはデビットカードのような機能をもち、通貨と同じように使用できるカードが支給され、一般のスーパーマーケットなどで利用でき、食料品を購入することができる。アルコールやタバコなどは対象外となっている。
フードスタンプの売買は法律で禁じられているが、求人などの情報交換を行うコミュニティーサイト、クレイグスリストには、フードスタンプを販売する広告が掲載されている。
広告によると、131ドル分のフードスタンプ・カードが61ドルで、70ドル分のカードが50ドルで、200ドル分のカードが150ドルで販売されている。当局は、買い手が得する値段に売り値を設定することで、売り手側は犯罪の発覚を防いでいると見ている。USDAによれば、フードスタンプを売って得た現金で、フードスタンプでは購入できないアルコールやたばこ、麻薬などを買うケースが報告されているという。
こうした犯罪行為を行う人の多くが、現金を得る目的で申請時に嘘の個人情報を提出し、申し込みを行っているという。USDAでは、フードスタンプの不正取得、不正利用に対する防止策を今後さらに強化していくとしている。