加州の州立大学では州の財政難から、授業数の削減などが行われ、その一方で学費は上がる事態が続いている。今月始めにもサンタモニカ・カレッジで授業料引き上げ案に関する評議会ミーティングが行われ、反対する学生が抗議運動を実施。大学警察が催涙スプレーを使用して過熱する抗議運動の鎮静化を図るまでに発展した。
 そんな中、人一倍高収入の州職員がいる。6月にカリフォルニア州立大学(CSU)フラトン校の学長に就任するCSUドミンゲスヒルズ校のミルドレッド・ガルシア学長は、基本給として32万4500ドルを受け取ることになるという。言及すべきは、これに加え年間1万2000ドルの自動車手当も支払われるということだ。同氏が受け取る給与は基本給29万5000ドルだった前任者の約10%増し。
 CSUイーストベイ校の次期学長、レロイ・モリシタ氏の基本給も前任者より10%増しの30万3660ドル。さらに自動車手当が年間1万2000ドル、年間6万ドルの住宅手当も支給されるというから驚きだ。
 CSU広報担当者は、「フラトン校の学生数はドミンゲスヒルズ校のおよそ2倍。彼らの職務は高給に見合うもの」としているが、はたして両氏がこれだけの給与に相当するだけの職務を行うのかは疑問だ。
 学長の給与は上がり、生徒は負担を強いられるばかり。こうした事態を受け、予算削減が行われる間、学長の給与引き上げを禁止し、さらに前任者の5%増しにならないよう制限する法案が提出された。
 ちなみに州職員(教育関係者を除く)でもっとも給与が高いのは、加州職員退職年金基金(Cal PERS)の最高投資責任者のマーク・アンソン氏。基本給は37万3891ドルで、諸手当を含めると計60万8489ドルになる。これに対しても州職員に10万ドル以上の手当をなくす法案が提出された。
 予算不足に瀕しても教育の充実を図るためには、まずこうした破格の手当をもらっている職員から無駄を省いていくべきなのではないだろうか。【吉田純子】

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