7月4日はアメリカ合衆国の独立記念日だった。
 国家の独立とは、主として植民地状態など他国の従属的立場にあった地域や民族が、その支配・圧政から離れ、新たな国家として成立することで、アメリカの場合、1776年7月4日に当時イギリスの植民地だった北米13の代表からなるアメリカ大陸会議が独立宣言を採択し、これを記念して設けられたのが独立記念日だと聞く。国家の祝日に指定されているこの日は全米各地で盛大なパレードなど催し物があり、祝賀行事で賑わった。
 国家に独立があるように、私たち一人ひとりにも独立がある。親元から離れて一人暮らしを始めたり、結婚したり、起業なども独立といえるだろう。この場合は従属的支配からの脱却というよりは、文字通り「独り立ち」と捉えるべきものだろう。
 私個人にも人生の分岐点といえるこのような独立が何度かあった。親兄弟たちの援助で学校を卒業することが出来、実家を離れて就職し、一人で生活を始めたのが20歳代のはじめ、最初の独立だった。その後結婚し家庭を持ち、海外駐在員としてシンガポールとアメリカで過ごし、日本では考えられない経験をつみ、恵まれた独立生活だったと総括している。
 これらの新しいスタートの日は忘れられない記念日であり、私にとって貴重な独立記念日だ。これら私の独立記念日は、これまで私を支えてくださった人々すべてに対する感謝デーでもある。
 話を国家の独立記念日に戻すが、私たちの祖国日本には独立記念日はない。神話にもとづく「建国記念の日」があるのみだ。日本がこれまで他国の植民地として支配されたことがなかったことは私たちにとって幸運だった。日本は第二次大戦後連合国の占領下におかれたが、講和条約で主権を回復した。ただし、その後、他国・他民族による圧力も支配も受けない独立国のはずの日本だが、現実の国際関係は厳しい。
 外交、安全保障、通商など、国際社会の場で対等に物がいえる真の独立国家になることが日本に求められる緊急課題だ。
 それが達成された日が来たら、その日を日本の「独立記念日」と呼ぶ日ではないだろうか。【河合将介】

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