サンクスギビングデーが過ぎ、街はホリデーシーズンへまっしぐら。年末年始に向かって、時計の針はいつもより足ばやに時を刻む感じ。
長引く景気低迷も、ネット通販を含むブラック・フライデーの好調ぶりから推し量ると、やっとこさっとこ出口を見いだしたのではとの印象。それでも減税打ち切りなどの「財政の崖」が迫っており、手放しでは喜べない不安定要素はいっぱい。
経済の停滞は、いろいろな犯罪の増加傾向に拍車をかける。特に気もそぞろになりがちなホリデーシーズンは、ちょっとした油断がもとで犯罪の犠牲者に。この時季はショッピングやパーティーなどで外出の機会も増えるから、留守を狙ったドロボーにとっては稼ぎどきだ。
「これまで比較的安全な地域とされてきた所での犯罪発生率が高くなってきており、もはや絶対安全な所はないと思ったほうがよい」と、警察当局は注意を喚起。
実際、常習犯は侵入してから5分以内で犯行を終え、現場を立ち去る。正に早業。彼らは、アラーム警報や電話を受けてポリスが現場に到着するまで20分前後かかるのを熟知しているから、悠々と犯行を重ねる。だから侵入強盗犯罪は一向に減らない。
さらに防犯対策の専門家にとって想定外の現象が最近目立っているという。フェイスブックなどのソーシャルメディアの普及により、自分のバケーションやイベント参加プランなどを半ば自慢げに公表する人が増えていることだ。また旅行中の写真を同時発信で得意気に公開するケースは、侵入犯に『招待状』を送っているようなもの。
住居侵入犯罪は全米で15秒ごとに発生。ブレイクインの85%は10秒以内にドアをこじ開け侵入し、一度被害に遭った住居が再び被害に遭う確率は4倍。ということは狙われやすい要素があるわけで、侵入者が狙いやすいと思わないように(標的にならないように)灌木や庭木などの丈を低くしたり、留守中は室内外の照明を時間差で自動点灯させるなどの工夫も必要だ。
防犯の基本はドアと窓の戸締まり。この地区は安全だからとか、近くのマーケットに行くだけだから、との油断は大敵。侵入犯の多くは締め忘れた窓やドアから侵入している。【石原 嵩】