任期満了により6月30日で退職するロサンゼルスのアントニオ・ビヤライゴーサ市長は9日、市長として最後の施政演説をカリフォルニア大学ロサンゼルス校の講堂で行った。市長は、8年間の成果を振り返るとともに、5月21日の決選投票で選出される後任候補者に対し、「教育の質をどう高めていくのかといった具体的な政策がない」と喝を入れた。
 ビヤライゴーサ市長は任期中に達成した成果として、120マイル以上に渡る自転車専用レーンの設置、ゴールドライン延長やエクスポライン開通といった鉄道事業、また17億ドルをかけたLAXの国際ターミナル改装工事など実績を上げ、公共機関の充実化を図ったことにより二酸化炭素の排出量を約30%削減させることに成功したと述べた。
 さらに、2005年の就任以来公約に挙げていたロサンゼルス市警察の警官増員案に関しては、当初の目標だった1000人には至らなかったものの、800人を増員し総警官数が1万人を超えた。これにより、凶悪犯罪と殺人が05年以来約50%減と記録的な減少を見せたと強調した。
 力を入れていた教育関係では、卒業率と教育レベルを上げるとともに、特に貧困地域にある学校の中で高かった中退率を下げることを目的に、ロサンゼルス統一学校区(LAUSD)の職権を市長に移行させたが、後に裁判で無効との判決が下された。
 その後、市長は成績の優れない22の学校の運営を引き受ける非営利団体を形成し、提唱者として協力。これにより、同校に大きな改善が見られたという。
 市長はまた、5月21日の決選投票で次期市長となるエリック・ガーセッティー市議とウェンディー・グレウエル財務責任者の候補者2人に対し、「教育の質をどう高めていくのかといった具体的な政策がない」と一蹴。2人の候補者が、教育関係のような深刻な議題について時間を費やしていないことに失望していると述べた。市長は現在のところ、2人のどちらにも支持を表明していない。
 これを受け、候補者2人は「教育システム改善の必要性は今までに何度も話し合ってきている」と反撃。同内容について2人で討論会を開く。

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