LAにすっかり定着し、ファンの間では今や独立記念日の風物詩となったアニメ・エキスポが盛大に催されている。1992年の初開催の来場者は数千人だったらしいが、20年で12万人を超す著しい成長を遂げている。その人気を支えているのが、熱狂的などという言葉を遥かに超え、マニアなどと表現される「オタク」たちだ。
 オタクは、一種異様な雰囲気を漂わせ一般の人には近寄り難いが、取材で話してみると、素直で大人しく、いい子ばかり。英語で話しかけても、受け答えの端々で「ハイ、ソーデス」「アリガトーゴザイマス」などと日本語を使い、中にはお辞儀をして敬ってくれ、うれしく思う。
 のめり込む特有の性格を生かしたオタクは勉強熱心が多く、日本語を独学し多くが上手く話す。そのほとんどすべてが、アニメのビデオを見て覚えるらしい。「カワイー」「キレーイ」「カッコイー」など単語から話し出し、アニメの決めゼリフに発展させる。その発音がまたきれい。何度も練習したのだろう。アメリカ人独特の強いアクセントはなく、役者や声優のように感情を込めて喋るのには頭が下がる。「主題歌を歌えるか?」と問えば、頼んでないのに人目もはばからず歌い出したことがあった。周りにいるお連れも2、3人と勝手に加わり、合唱の輪が5、6人に広がった時は感動した。
 アメリカのアニメーションとは一線を画し、子どもから大人まで楽しむことができる世界に広がるアニメ文化は日本が発祥。手塚治虫や藤子不二雄など漫画界の大家がストーリー性の優れた作品を遺し、その後も宮崎駿のようなアカデミー賞を受賞するアーティストが続々と秀作を生み出している。現在は日本のアニメが圧倒しているが、うかうかしてはいられない。他国に付け入る隙を与えないよう、オタクを見習った応援が必要である。
 茶道、華道、書道など伝統文化と同様にポップカルチャーを大事にしなければならない。日本文化を支えるアニメオタクは、来週開幕する二世週祭に毎年参加し、アニメのクライマックスのシーンの寸劇などを演じてくれる。グランドパレードにも出るので、大きな声援を送ろう。【永田 潤】

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