学校で取得する「単位」ではなく、長さを測る「単位」についてである。アメリカに長く住んでいるが、まだ「ヤード」に慣れない。メートル法で育った者として、どうもピンとこないのだ。頭の中で換算してしまう。
 1820年代に長さはヤードで、重さはポンドとイギリス(大英帝国)によって定められた。Imperial units(帝国単位)と呼ばれ、世界の英連邦国で施行された。
 一方、メートル法の制定は、1795年にフランスで始まり、世界基準を提案した。地球の北極点と赤道の1000万分の一の長さらしい。
 1ヤードは0.9144メートル。1インチが2.54 センチで、12インチが1フィート(フット)=30.48センチ。1フィート(フット)は「足」の意味で、いわゆる足の大きさだ。裸足だと多少大きいので、靴を履いたまま測ったのだろう。そして3フィートが1ヤードとなる。
 ヤードの長さの由来は、イギリス国王が所持していた金属棒の長さだとか、腰に巻く布の長さ、つまりウエストの長さだとか、手を広げた時の肘から中指までをキュビットといい、その2倍、つまり指先から鼻までの長さ、または単なる人間の歩幅だとか諸説ある。
 イギリス発祥のサッカーはヤード法だ。フリーキックの際、レフェリーが守備側に10ヤード離れるように、自ら10歩あるいて距離を測る。ベテランのレフェリーがやると、なるほどまさにぴったりの距離になる。
 ところが、同じイギリス発祥であるラグビーは、国際化に向け1977年にヤード法からメートル法に変更された。グラウンドに描かれた25ヤード・ラインは22メーター・ラインと呼ばれるようになった。
 長年、英国単位を使用していたリベリアとミャンマーもメートル法に移り変わりつつあるらしい。世界の中で、未だヤード法を日常で使っている国は、イギリスとアメリカだけのようだ。いつの日か、長さだけでなく、重さも世界統一になれば、どんなに便利になるだろうか……?
 ちなみにテレビ画面の大きさ(対角線の長さで測定)は、日本でもまだインチが使われている。こればかりは、インチの方がピンとくる。【長土居政史】

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