「ラクロスの起源を知っていますか? 興味深いですよ」と、友達からの言葉がきっかけだった。網付きスティックを使ってボールを相手ゴールに入れて争うスポーツであることは知っている。早速調べてみた。
 フィールド・ホッケーと似ているが、より早いテンポで展開する。特に男子は激しくぶつかり合うため、ヘルメットやショルダーパッドの防具を着用する。女性はコンタクト(体当たり)が禁止。現ルールでは男子は1チーム10名、女子は12名の選手で競う。
 このラクロスは、アメリカで一番最初のスポーツといわれる。驚くことに、17世紀北米のアメリカ・インディアンの部族たちが、領土の取り合い等の争いごとを解決するため始まった競技なのである。個々の体力や技量はもちろん戦術やチームワークが重要だ。外交の手段として、またコミュニティーを安定化させる機能としても役立ったようである。試合前には儀式を行い、1部族1000人以上が、ゴールの距離3キロにわたる平原で、数日間続けて競い合う時もあったという。
 1636年、フランスからの宣教師が、カナダ・オンタリオ州のヒューロンで試合を初めて記録した。ラクロス(Lacrosse)とはフランス語で、先が曲がったスティック、棒の意味。当時既に48部族がプレーしていたらしい。その後1867年、カナダ人の歯科医であるウィリアム・ビアスが、試合のフィールドの広さ、選手の数、基本ルールなどを統一化した。チェロキー部族等は、両手でスティック2本持つスタイルだった。
 現在、北東部を中心にプロリーグや大学レベルでは500チーム以上が存在し、人気も高まりつつある。大学アメフト最優秀選手賞のハイズマントロフィーのように、ラクロスには、デイワアラドーン(スペルはTewaaratonだが、モホーク族の言葉ではこの発音)トロフィーがある。モヒカン刈りのインディアンをモデルにしたブロンズ像だ。昨年初めてネイティブ・アメリカンであるマイルズ(4年生)とライル(3年生)のトンプソン兄弟(ニューヨーク州立大学アルバニー校)が同時受賞(これも初)した。ちなみに今年もライルが受賞。
 至って興味深いアメリカスポーツの歴史と痛感した。
【長土居政史】

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