今冬の暮れとお正月は暖かで穏やかなお天気が続いた。異常気象の一環かもしれないが出歩くには有難い。大晦日の午後、ようやく年賀状を出し終え、おせち料理作りも一段落して暮れの気分に浸る。新しいお酒の栓を抜きテレビの前に座る。紅白歌合戦が始まるのだが昔のようではない。第一、出場歌手も歌の内容も見慣れない・聴き慣れない歌手が多くなり、古い人間には昔のワクワクするような高揚感は望むべくもない。途中でテレビを切り上げ、早めに一風呂浴びて仮眠を取る。夜11時半から近くのお寺で除夜の鐘を参拝客につかせるそうで楽しみにしていた。
 11時過ぎに支度をしてお寺に向かった。幾人か同じ方向に向かう人たちがいる。お寺の境内に入ると赤々と二つほど大かがり火が焚かれ、本堂の前では住職の年越しの法話が始まっている。11時半、ゴ〜ン・ゴ〜ンと除夜の鐘が鳴り出した。鐘撞堂へ回ると千円のお布施とともに申込んだ人たちがお坊さんから真言を受けて鐘をつく。年が改まるという厳粛な気分が満ち満ちる。地域と共にあるお寺は気持ちがよい。
 朝6時50分、いよいよ初日の出。東の地平線が赤く染まり一条の光と共に太陽が顔をのぞかせる。見る見るうちに赫赫(かっかく)と光度を増し西の富士山が紅に染まる。町のビル群も赤く映えて2016年のお正月が始まった。佳き年であれかしと家内と二人で柏手を打って祈った。
 お屠蘇とお雑煮を祝い、配達された賀状によって、あの人もこの人も元気だったかと無事を喜ぶ。テレビのお正月番組に興じ、近所のお宮に初詣。古いしきたりだがこれが日本のお正月だ。わが家の正式の初詣は2日目か3日目に毎年初詣の名所と決めている。帰国して1年目は芝の増上寺、年ごとに川崎大師、寒川神社、明治神宮、靖国神社、浅草寺と巡って申年の今年は日枝神社にお参りした。以前にも書いたが、初詣の願掛けは「願い事をぜひ達成したいと自らに誓う決意表明」と考えればよい。一般には家内安全・商売繁昌・合格祈願などだがこの年になると健康が一番の願い。今年こそはと自省を込めて努力を誓う。2016年が佳き年でありますように!【若尾龍彦】

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *