小東京の3街とサンペドロ通り付近を通過するデモ参加者

 日系人高齢者たちが安心して住める新施設の建設を目指す「高齢者を守る会」(前「敬老を守る会」)は2月24日午後1時から2時過ぎまで、旧敬老4施設を売却して7000万ドル以上の資産を保有していると考えられる「KEIRO」理事会に向けて抗議デモを行った。

 小東京の東、ボイルハイツの敬老引退者ホームと敬老中間看護施設、リンカーンハイツの敬老ナーシングホーム、ガーデナ市のサウスベイ敬老ナーシングホームの旧敬老4施設は日系コミュニティーが各方面の支援と協力を得て、長年かけて築き上げてきた施設。日系コミュニティーと日系高齢者にはそれを取り戻してもらう権利があるとして、デモは小東京のサンペドロ通りと2番街の角より出発し、KEIRO(敬老理事会)がオフィスを置くPacific Commerce Bank(420 E. 3rd Street )のビル(3街とサンペドロ通りの南東角)までデモ行進。

スローガンを書いたプラカードを掲げてKEIROオフィス・ビルの前でデモをする参加者
 デモの参加者は、日本人、日系人を中心に、20代の若い人から80代の人までおよそ150人。「日系高齢者用の施設を今すぐ建てよう!」「高齢者を守れ!」「7000万ドルを返せ!」「敬老を再建しよう!」「高齢者の救済は新しい施設の建設!」「KEIRO理事会は7000万ドルの上にあぐらをかくな!」「理事会を解散せよ!」などと書かれたプラカードを掲げて行進し、時にはスローガンの一つ「返せ、返せ、7000万ドル!」のシュプレヒコールを繰り返し唱和して気勢を上げた。
 KEIROが10階にオフィスを構えるビルの前では、デモの指導者たちが次々とマイクを握って演説。その要点は、プラカードやスローガンにある内容の再確認的なことの繰り返しだったが、「ショーン三宅とKEIRO理事会よ、日系コミュニティーにあやまれ」「7000万ドルは高齢者施設の再建に使うこと」などとの演説のたびに大きな拍手がわき起こる。また、デモ会場前の3街を通る車からも、デモを支持するクラクションが何度も鳴り響く。
 「高齢者を守る会」の活動に賛同する署名は、この日までに1万7000人分が集まった。1枚に6人まで書き込めるその署名用紙を巻き物状につなぎ合わせた署名簿はデモ参加者たちが手に持って、歩道いっぱいに長々と広げられた。そこには「日本文化を配慮する高齢者施設にて介護を受けるための請願書」と表記されていて、請願の概要と背景、目的などが説明されている。
KEIROがオフィスを構えるビルの前で1万7000人分の署名を示すデモ参加者
 「7000万ドルを敬老建て直しに使おう、返してもらおう」という「高齢者を守る会」の強い意志を、KEIRO理事会に伝えたいとしたデモ参加者の呼びかけに応えて、「KEIRO」のリオナ平岡代表兼最高経営責任者(CEO)が姿を見せ、1万7000人分の署名を自ら受け取った。
 「守る会」によると、当時の敬老理事会は施設売却の第一の理由として「オバマケアの下でメディキャル所有居住者への政府からの償還金が減ると予測されること、したがって経営が困難となることを挙げていた。しかし、オバマケア実施後3年経った現在、政府償還金は1日当たり190ドルから206ドルになり、逆に増えていて、施設を売る必要はなかった」としている。
 また、「敬老理事会は、日系社会から敬老4施設の運営を依頼されていたわけだが、その4施設を売却してしまったので、その存在理由もなくなった。それなのに彼らは7000万ドル以上の資産を所有したままで、その明確な使途も公表していない」として、本来は日系コミュニティーに属すべき7000万ドルを日系高齢者のための施設建設に使うように請願している。【石原 嵩、写真も】

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *