「やめられない、止まらない―」。筆者が子供だった頃、日本で耳にしたことがある某菓子メーカのCMソングのフレーズだ。一度食べれば夢中になってしまうというメッセージを込めているのだろう。
 やめられない、止まらない現象は好転的に働けば(例えば勉強など)いいのだが、一歩間違えれば人々を狂わせる存在にもなりかねない。
 最近よく耳にする「ネット依存症」という言葉。フェイスブックやツイッターなどのSNSやオンラインゲームがやめられなくなってしまう症状のことをいう。
 現代社会において、個人だけでなく政府や企業、教育機関などあらゆる分野でSNSは情報発信手段として活用されている。2016年の大統領選でも、各陣営が選挙活動にフェイスブックやインスタグラムなどを大いに活用していたのが印象的だった。今の大統領も連日ツイッターへの投稿が止まらない。
 ネット依存症の中で圧倒的に多いのがゲーム依存だという。ゲーム依存症の人はゲームに熱中するあまり、日常生活が困難になってしまう。中には十数時間熱中してしまう人もいるとのこと。
 世界保健機関(WHO)によると、今年初めてゲーム依存症が「ゲーム障害」として疾病の中に加わるという。それほど世界的に深刻な社会問題となっているのだ。
 先日あるアメリカ人の親御さんに話を聞いた。その人はゲーム依存やSNSのやりすぎによる視力の低下を懸念し、高校生になるまで子供にスマートフォンを買い与えないという。
 今や学校からの授業に関する情報もスマートフォンで確認する時代。高校に入学したら否応無しにスマートフォンが必要不可欠になるのだから、せめて中学生までは我慢させているのだとか。
 子供にとっては周りが持っていて自分だけ持っていなかったら、なんとももどかしい気持ちになるかもしれないが、それが親心。得策だと思った。
 私たちの身の回りにはあらゆる誘惑がつきまとう。ネット依存症は生活を楽しく便利にしてくれる半面、依存という事態も生じてしまう。ネットが発達してしたがゆえの現代病なのだろう。昔の方がよかった―、そう嘆く声が聞こえてきそうである。【吉田純子】

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