茶会は邸宅内の茶室で開かれ、1席目は亭主を小東京の禅宗寺の小島秀明開教師、半東を坂井貴之さん、2席目は小川さんの妻の小川宗靖社中の大須賀シノイさんが点前をし、シェリー・エリザベスさんが半東をそれぞれ務めた。最後は、坂井さんの点前、小島師が半東でもてなした。
坂井さんは、5年前に小川宗靖師に師事し月2度、稽古をつけてもらっている。建設会社を経営し「建設業は、すべてに(数値などの)ルールがあるため、ストレスを感じることもある」が、茶道は「いったん、畳の部屋に入るとホッとし、好きなお茶も飲めてリラックスできる。携帯電話の連絡など外の現代社会から完全にシャットダウンされ落ち着く空間」と強調する。
この日の点前は、緊張したというが半東の小島師の心の支えが大きかったとし「うまくいってよかった」と、安堵の表情を浮かべた。茶道の作法について「一つ間違えると、すべてがうまくいかず、パーフェクトでなければならない」ことを心得ており、「パーフェクトさを維持するには、稽古を続けるしかない」と、精進を誓った。
この日のケータリングは、トーレンスですし職人の養成学校を経営するアンディ松田さんが生徒3人を連れて行い、すしや刺身、天ぷら、串カツ、日本酒など和食を中心にサーブした。生徒は務めを終えてから茶席に招かれ一碗を堪能し、サーブの仕方や礼儀作法を学んだ。松田さんは、日本の食文化を伝える役割を担う生徒の茶道体験について「もてなす心を学び、とてもいい経験になったと思う」と述べた。松田さんは今日会の会員でもあり「お茶には、書道、華道、お礼、尊敬、感謝など、日本文化の要素がすべて入っている」とし、「庭の掃除から、サーブし、いただくまでのストーリーに加え、道具の歴史、和を重んじる心、片付けの心など奥深い」と力説した。
正客として各茶席を見守った今日会顧問の小泉宗由さんは、今日会の活動について「われわれが行う茶道の普及のために、みなさんに支えてもらい恐縮している。主人(カリフォルニア今日会創設者の巌さん)も喜んでいることでしょう」と述べ、10月に自宅で催す、月見の茶会に招待する意志を示した。【永田潤、写真も】