それは筆者がまだ幼稚園児だったころ、楽しい家族とのクリスマス旅行を終え、帰りの飛行機の中で起こった出来事だった。ヨーロッパからの長時間のフライトもまもなく終わりに近づき、日本上空を飛行している時だった。突然、機内アナウンスが流れ、重々しい口調で語られる言葉が耳に入ってきた。それは、昭和天皇の崩御を知らせる機内放送だった。騒がしかった機内が一瞬静まりかえり、そして大人たちの動揺の声が溢れ出し、再び沈黙が訪れた。昭和という激動の時代が幕を閉じた。
 当時まだ子どもで、人の死というものに向き合ったことがなかった。当然のことながら昭和天皇とお会いしたこともない。だが、涙が止めどもなく流れてきたのを覚えている。このようなシチュエーションだったため、昭和の終わりは筆者の中で今も記憶にとどめているのであった。
 それから30年が経過した。天皇陛下の譲位により、4月1日には新元号が閣議決定され、同月30日、天皇陛下が退位される。この日が平成最後の日となる。5月1日には皇太子さまが新天皇に即位し、改元となる。平成の次は248番目の元号だという。
 この新元号を巡っては、日本政府は国文学、漢文学、日本史学、東洋史学を専門とする学者に新元号の考案を依頼。4月1日にこの中から、官房長官が3案程を選び出し、有識者懇談会などの意見を聴いた後、その日のうちに閣議決定する。
 ネット上などでは早くから新元号が何になるか予想されてきた。予想が当たるか当たらないかはさておき、多くの人に影響が出てくることには違いない。アメリカに住んでいれば和暦を使う機会は少ないが、日本では書類などで生年月日などを記入する際、和暦を記入することが多く、各自治体などでは対応が進められているという。
 また元号は学生にも影響がでてくる。大化の改新や元禄文化、明治維新などのように、大学入試レベルの日本史で元号がつけられている歴史的出来事は170以上もあるという。歴史を覚える際にも元号は切り離せない。
 平成も残りわずか。新たな元号とともに訪れる次の時代はどんな未来の幕開けとなるのだろう。【吉田純子】

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