ロサンゼルス市都市計画局の担当者を前に、公聴会で意見を述べる聖フランシスコザビエル教会のジョージ・タカハシさん(左)

都市計画局が発表した、小東京デザインが適用されるゾーンマップ

 ロサンゼルス市都市計画局は2月20日、小東京地区の都市デザインについてコミュニティーから意見を集めるため、日米文化会館で公聴会を催した。都市デザインに関する意見は3月25日(月)まで同局で受け付けている。
 同計画は、小東京の風土や地理、歴史などを考慮し、小東京らしい形態や景観を整える目的で歴史的建造物の保存や店頭の看板やデザインなどにさまざまなガイドラインを設けるとともに、歩行者にとって安全な環境を提供することを義務づける内容。2000年初めごろから当時地域の開発事業を担当していた地域再開発事業局(CRA)と小東京協議会(LTCC)らコミュニティーが協力して開始した事業。CRA閉鎖後は、市の都市計画局が引き継いだ。
 公聴会では、小東京をはじめアートディストリクト、スキッドロウ、ダウンタウン産業ディストリクトなどから約40人が集まり、出席者は小東京の都市デザインについて再度説明を聞くとともに、提案されている内容に対し29人が意見を述べた。
 市から提案されている同デザインが適用さるゾーンマップには、聖フランシスコザビエル教会(旧メリノール教会)、禅宗寺、西本願寺などが位置するアラメダ通り東側は含まれていないため、公聴会では、禅宗寺のルメー大岳師、西本願寺のエリック・カリムラさん、聖フランシスコザビエル教会のジョージ・タカハシさんら関係者が、「小東京の歴史保存の観点から同事業には賛成」と前置きした上で、長年にわたるそれぞれの小東京とのかかわりや歴史に触れ、「(それぞれの団体も)小東京として含まれるべき」「ゾーンマップの再検討を」と訴えた。
 一方で、アラメダ通り東側に位置するアートディストリクトからは、提案通りの地図を支持する声が上がった。
 ロサンゼルスリバー・アーティスト・ビジネス協会のジョセフ・ピトロゼリ代表は、小東京の歴史や日系社会に敬意を示した上で、「同地図はあくまで、小東京らしい形態や景観を整えるための建築ガイドラインを適用する地域を定めたものであり、小東京を表わす公式な地図ではない」と強調。それらの建築やデザイン規制は、アートディストリクトにはそぐわない上、将来の開発事業などに影響を及ぼす可能性があるとして、現行の地図を支持した。
 アートディストリクトBIDとダウンタウン産業ディストリクトBIDを代表し、セントラルシティーイースト協会のエステラ・ロペス代表は、「計画の初期段階ではわれわれにも連絡があったが、その後経過報告など一切なかった」とし、当時訴えた意見が一切反映されていないと不満をあらわにした。
 さらに、「(現在ゾーンマップに含まれている)サンペドロとアラメダ間の3街南側は産業ディストリクトに属する地域であり、既存する建物や商店は小東京の歴史とは関係なく、同建築ガイドラインはビルの所有者、テナント、開発業者にとって実用性のない不適切な規制」と訴えた。
 最後にロペス代表は、関係する各地域の代表同士で話し合いをさせてほしいと述べ、当事者同士による対話の結論が出るまで事業を進めないよう、市に強く訴えた。
 ロサンゼルス市都市計画局では、3月25日まで意見を受け付けている。送り先は―
 Bryan Eck, Department of City Planning
 200 N. Spring St. Room 667
 Los Angeles, CA 90012
またはメールで―
 bryan.eck@lacity.org
その他計画に関する詳細はエックさんまで、電話213・978・1304。
【中村良子、写真も】

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