先日、取材先で同じテーブルに座ったあるご婦人がもうすぐロサンゼルスを離れサンルイスオビスポに引っ越すと言う。サンルイスオビスポはLAから車で3時間半ほど北上したワインカウンティーとしても有名な街だ。「夜には満天の星空が眺められるんですって」と目を輝かせ話していた。
 先日発表されたギャロップ社の「全米でもっとも幸福な場所ランキング」でこのサンルイスオビスポが10位に選ばれた。加州でトップ10にランクインした街はサンルイスオビスポだけ。
 調査の基準は住民の経済や健康、精神状態のほか、どれだけ自宅と周りのコミュニティーを気に入っているかなどさまざまな観点から実施され、全米50州でおよそ230万人を対象に行われた。
 サンルイスオビスポはカリフォルニア州立ポリテクニック大学があることでも知られ、近くにはピスモビーチや温泉もあり筆者も大好きな場所だ。行く度に「こんな街に住めたら」と思ってしまう。
 州ごとにみると幸福度指数がもっとも高いのはハワイ。2位はアラスカ、次いでモンタナ、コロラドと続き10位がカリフォルニアだった。ハワイは5年連続1位で安定の高水準だ。
 昨年末も日系コミュニティーで長きにわたり活躍していたあるご婦人がLAを去りハワイに移った。家族がいることが一番の要因らしいが、老後はLAではなくハワイでのんびり過ごしたいと常々口にしていたのを思い出す。きっと今ごろはトロピカルアイランドでの暮らしを満喫しているに違いない。
 LAも海と山に恵まれ、日本食はすぐ手に入るし刺激あふれる魅力的な街だ。しかしアンジェリーノはいつだって渋滞に悩まされるし、大気汚染は毎年全米でもっともひどい都市に選ばれる。人によっては老後を過ごすのに最適な環境とは思えないのもうなずける。ましてLAで働いている人はなかなか移住するのは難しい。憧れの街に必ずしも希望の職があるとは限らないからだ。
 同時に2つの理想を追い求めるのは欲張りなのだろう。当分、筆者には幸福度指数の高い場所への夢の移住計画はお預けのようだ。【吉田純子】

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