ヘンリー王子とメーガン・マークルさんの結婚式が華やかに執り行われた。米メディアも大々的に報道した。
 花嫁がアメリカ人であるということもあってのことだが、それにしてもアメリカ人の英王室に対する関心は異常としか言いようがない。
 なぜ、アメリカ人はそんなにイギリス好きなのだろう。なぜ、「クィーンズ・イングリッシュ」に憧れるのだろう。アメリカはすでにイギリス系が多数を占める国家ではない。いわゆるアングロ・アメリカンというのは米全人口の7・6%しかいない。それなのになぜ。
 2017年のギャラップ世論調査によれば、アメリカ人にとって最も好感度のある国は、カナダ(92%)とイギリス(91%)が拮抗。(そしてなぜか、ありがたいことに)日本が85%で3位。フランス(83%)、ドイツ(82%)と続く。
 「子供のころから『ベケット』や『冬のライオン』を読んでいるせいじゃないのか」(米ベテラン・ジャーナリスト)という説。イギリスの中世は歴史の浅いアメリカ人にとっては「時代劇」のようなものなのかもしれない。
 共通の言語を持ち、文化、慣習、宗教も当初はイギリスから持ち込んだからだろう。ところが旧植民主義者イギリス人はアメリカ人に対して複雑な感情をもっているらしい。
 『Across the Pond; An Englishman’s View of America』(著者、イギリス人評論家、テリー・イーグルトン)には、「アイルランド人は総じてアメリカが好きだが、イギリス人は一般論的に言えばアメリカ人があまり好きではない」とある。
 そして「アメリカ人は物事を中途半端にやり過ごすことができない。極端から極端に走る傾向がある。国家としての米国は、親切であり、暴力的であり、偏狭。かつ寛大な精神も持ち合わせている」と断定する。
 少なくとも、「トランプメリカ」について言えば、この診断、どんぴしゃりのような気がする。【高濱 賛】

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