まるで2度目の正月でも来たかのようだ。メディアもどこもかしこもお祭り騒ぎ。街を見回すと「平成最後のー」と商魂たくましい看板があちこちに。
 新たな元号「令和」になったけれど、身の回りも気持ちも何ひとつ変わらない。内心うんざりしながらも、この報道には自然と耳を傾けたくなる–「女性天皇は誕生するのか」。これにどんな問題があるのかといつも疑問に思う。
 女性の社会進出が進み、男女雇用機会均等法が施行されたのは昭和末期の1986年。平成は女性の立場が飛躍的に向上する時代だと思われていた。
 でも現実には大きな進展はなく、男女の格差は依然としてあらゆる面で残っている。大学では医学部の入試などで男女間に合格者数に差があったり、女性議員の数もまだ全体の1割ほどしかいなかったりする。
 先月行われた「平成最後の」統一地方選挙。昨年5月に候補者男女均等法が成立して初めての選挙となった。この法律では国会と地方議会に立候補する人の男女比をできる限り均等にするよう求めている。違反しても罰則規定はない。今回どれだけ各地で女性議員が増えるのか注目された。
 私が住む江東区では区長選挙と区議会議員選挙が行われた。選挙サイトからコピーした候補者名簿でまず女性にマルをつけた。44の議席を争う区議選では立候補者57人のうち15人が女性。投票の結果13人の女性議員が誕生した。しかし区長選は男性3人だけの立候補だった。
 今回の道府県議会選挙で誕生した女性議員の数は過去最高となった。しかしその数は全国でわずか237人。定数の10・4%とようやく1割を超えたにすぎない。
 しかし晴れて当選しても、女性議員にはイバラの道が続く。あらゆる場面で「女のくせに」と揶揄され、同僚の男性議員や有権者からのハラスメントを受ける被害もあとを絶たない。そんな調査結果もある。
 改元に伴って繰り広げられた女性天皇の是非の議論。でも、こんな世の中で即位してもかわいそうだ。新しく始まった時代。女性が堂々と意見して活躍する。それが日本の象徴となることがまず求められているのではないだろうか。【中西奈緒】

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