ここはオークランドのチャイナタウン。金曜日の暖かい朝だ。何百人もの高齢者が8街のアジアン・リソース・センターの外で待っていて、ブロックを包み込むような長い列を形成している。歩道に記された明緑色のマークの上に、各人が6フィート離れて立っている。センターの入り口で、ボランティアがテイクアウトの山を折りたたみテーブルに積みあげた。地元のレストランで調理された作りたての無料ランチを手に入れたシニアが会場を去っていく。
並んでいた一人の女性。その名はレイさん。近くで食料品の買い物中にプログラムについて知った。プログラムが1カ月前に始まって以来、並んだのは今回で3度目だった。これまでで好きだった料理はチャーシュー、ビーフシチュー、鶏もも肉だった。
別の参加者のザオさんも、今回が3度目だった。彼女は遠くに住んでいて、午前7時に列に並ぶために、早朝のバスに乗った。配給は午前11時に始まり、食べ物は通常午後12時半分までに無くなる。
1カ月間の無料ランチプログラムは、災害後の食糧救済を提供する国際組織「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」と、レストランや中小企業を擁護する地元グループ「グッド・グッド・イーツ」とのパートナーシップだ。プログラムの目的は、レストランに直接支払いをして食事を買い、それを必要とする人々に提供することだ。
20店に20万ドル送り込む
約2万人に食事を提供
「私たちはコミュニティーの人々を養うことができる。レストランは人々を養うために報酬を得ている。どちらに取ってもメリットがある」と、グッド・グッド・イーツの創設者の1人であるトミー・ウォンさんは言う。組織はボランティアで、オークランドの小規模食品企業が新型コロナウイルスのパンデミックを乗り切るのを支援するために、3月に設立された。
グッド・グッド・イーツの共同創設者であるトリン・バンさんは、「外出禁止が始まったとき、ホスピタリティー業界とレストランビジネスを心配した」と話す。 「特にチャイナタウンは、ただただ、荒廃していた。そこに飛び込んで、私たちに何ができるかを見極めることが急務だった」
グッド・グッド・イーツは、ソーシャルメディアとマーケティングで中小企業を支援したり、いくつかのコミュニティー・クリーンアップを主催したり、チャイナタウンの昼食配布プログラムと似た方法でホームレスの人々やエッセンシャルワーカーの人々に食事を提供する、「Fund-a-Lunch」と呼ぶプログラムの資金調達を開始したりもしてきた。
「私たちは仲介者を介さず、寄付された資金をを直接にレストランに支払っている」とバンさんは誇らしげに話す。「週に1500人、時にはそれ以上の人に食事を与えることができた。食べ物はコミュニティーに還元されている」
アジアン・リソース・センターの外では、ウィニーさんというボランティアが、広東語と英語で、高齢者が料理を受け取れるように手伝っていた。「私は祖父母と一緒にここオークランドのチャイナタウンで育った」と話すウィニーさん。無料ランチプログラムについては、グッド・グッド・イーツのインスタグラムで知った。
もう一人のボランティア、ユージニア・パークさんは毎週手伝っている。パークさんは、プログラムはとても効果的なモデルだと考えている。「特に、地元の人々が地元の人々を養うという考えが素晴らしい。どこからともなく人々がやってくるというよりも、ずっと理にかなっていると思う」と称賛した。
アナカイ・ハヤカワ・ゲシュライダーは、羅府新報の寄稿ライター。文芸誌クウェリのマネージング・エディターでもある。羅府新報ではコミュニティーのニュースだけでなく、ロサンゼルスとサンフランシスコ・ベイエリアの新たな社会問題についても取り上げている。回復への道④下に続く