セリトスの贈呈式で壁画を称賛する出席者。中央で帽子をかぶっているのがヘイトクライムの被害に遭ったセザール・エカノさん

 ロサンゼルス郡監督委員会のヒルダ・L・ソリース委員長、キャスリン・バーガー委員、ロサンゼルス郡ヒューマンリレーション委員会、アジアユースセンター他のコミュニティー組織はこのほど、サンゲーブルバレーの3カ所にパブリックアート作品を設置した。コミュニティーを形成し、ヘイトに立ち向かうように制作された作品の数々は、LA郡が立ち上げた反ヘイトの活動「LA vs Hate」の一部だ。

 LA vs Hateプログラムの中心的な要素は、差別に直面したときの連帯と癒やしを強化するためにアートを活用することだ。ロサンゼルスのアジア系米国人がさらされている状況に対する意識を、高める必要がある。その取り組みの一環として、地元のアーティスト、マリナオミさんによる三つの壁画がサンゲーブルバレーに設置された。
 ビルと同じ高さの巨大なサイズの漫画は、LA郡のアジアおよび太平洋諸島系住民(AAPI)のコミュニティーを題材とし、その歴史とこれまでの多くの貢献、新型コロナ禍の反発により攻撃の対象とされてしまっている現在、そして憎悪から癒やしへの旅、すべての人の連帯と包摂を確実にするための擁護の必要性を描いている。
 第1地区を監督するソリース委員長は、「AAPIコミュニティーのメンバーはパンデミックを通じて人種差別や暴力の恐ろしい行為に直面した。それは、コミュニティーの多様性を歓迎し、あらゆる背景の人々にとって家と呼べる場所であるというロサンゼルス郡の原則に反している」と述べ、「ローカルアーティストのマリナオミさんによって美しくデザインされたパブリックアートのインスタレーションは、各地のAAPI住民に、私たちが彼らのためにここにいること、憎悪行為への対処や被害者への支援のためにロサンゼルス郡がLA vs Hateを立ち上げていること、安全と福祉を守る活動があることの証拠を示している」と続けた。

郡監督委員会のソリース委員長(中央)から表彰状を贈られたアーティストのマリナオミさん(左隣)やトーマ氏(左端)ら

 第5地区監督のバーガー委員は「ヘイトに対する郡の取り組みの一環として、私の地区でこれらの重要なアート作品を発表できることは光栄だ」とあいさつ。「アートは言葉では言い表せない方法で人々に語り掛ける。これらの壁画は、憎しみに立ち向かうための私たちの取り組みに対して、より大きな認識と理解をもたらすと信じている」
 ロサンゼルス郡労働力開発・高齢化・コミュニティーサービス部門(WDACS)の代理ディレクターであるオットー・ソロザノ氏は「これらの美しいアートインスタレーションは、わが郡のAAPIコミュニティーが単独でヘイトクライムに直面していないことを強調している。LA vs Hateは、ヘイトの被害者に、彼らの属するコミュニティーの文化に配慮した適切な方法で、無料の支援サービスを提供している。また、アートを通じてコミュニティーを構築することで、ここロサンゼルス郡には憎しみの入る場所がないことを思い出させてくれる」と話した。
 マリナオミさんの作品について言及した郡ヒューマンリレーション委員会のロビン・トーマ事務局長は、「LA郡のAAPI住民が経験している苦痛はつらいが、この壁画は、偏見と差別を克服した過去、現在のヘイト報告の緊急性、そして私たち全員にとってより明るい未来の約束を垣間見ることを可能にする」と説明した。
 「私の『おばあちゃん』によく似た女性が私の地元でヘイトクライムを経験したと知って、私の怒りは限界に達した」とマリナオミさん。「絶望感を覚え始めていたところに、このプロジェクトをいただいた。AAPIの経験について作品を作ったり、支援、理解、安全への道筋を知らせるために何かしたりすることは、気持ちを明るくしてくれる」と、作品への思いを言葉にした。
 アジアユースセンターのミシェル・フレリッジ事務局長は、「この素晴らしいアートプロジェクトによって、サンゲーブルバレー地区で、同盟、連帯、癒やしについてより多くの対話が生み出されてほしい」と期待を込めた。
 ▽LAケア・ヘルスプランからの寛大な寄付により実現したマリナオミさんのサンゲーブルバレー地区の作品は、次の場所で見ることができる。
 Garvey Park, 7954 Dorothy St.Rosemead 91770
 Asian Youth Center、300 S. San Marino Ave. San Gabriel 91776
 Iona Work、1500 Alhambra Rd. Alhambra 91801
 一方、ロサンゼルス郡南部のセリトスでは8月13日、郡監督委員会のジャニス・ハーン委員と地元の指導者たちが、ナベ公園に大型サイズの壁画をささげた。ここは、6月5日にフィリピン系米国人のお年寄りがひどい仕打ちを受けた場所である。ハーン委員のオフィスとLA vs Hateのパートナーシップで実現したマリナオミさんの壁画は、同公園に2年間展示されるという。場所は、K Don Knabe Community Regional Park, 19700 Bloomfield Ave. Cerritos, 90703
 作品贈呈式にはハーン氏、マリナオミさん、前出のトーマ氏、セリトス市のグレース・フー市長とフランク・アウレリオ・ヨコヤマ市議、公園レクリエーション部のノーマ・ガルシア局長、ヘイトクライムの被害者セザール・エカノさんらが参加した。

郡監督委員会のソリース委員長(中央)から表彰状を贈られたアーティストのマリナオミさん(左隣)やトーマ氏(左端)ら

 壁画は、1871年に起こったロサンゼルスでの中国人移民の虐殺、第二次世界大戦中の日系米国人の大量強制収容、1982年にヘイトが引き金でアジア人が殺害されたビンセント・チン事件など、反アジア人の憎悪の事件を題材にしている。また、第二次世界大戦中の日系人部隊である第442連団や、過去と現在のコミュニティーヒーローを数多く紹介している。その名前を挙げると、ユリ・コチヤマ(政治活動家)、ジョージ・タケイ(俳優・活動家)、グレース・リー・ボッグス(政治活動家)、フィル・ユー(怒れるアジア人ブロガー)、オーシャン・ボン(著述家)、ラリー・イトリオン(労働組合幹部)、杉原千畝(ホロコーストからユダヤ人を救った外交官)、マーガレット・チョー(女優)、アレクサンダー・チー(著述家)、カータール・ディロン(政治活動家・作家)、そしてマリナオミさんの母親も含まれている。ヒーローたちはアジア人憎悪への懸念を受けて、壁画の中から人々に、報告や擁護、保護、救済を呼び掛けている。
 LA vs Hateは、ロサンゼルス郡のすべての住民が団結し、報告し、憎しみに抵抗することを奨励および支援する、コミュニティー中心の創造的なキャンペーンとして全米でも高く評されている。
 もともと2019年9月に始動したが、アジア系と太平洋諸島系の住民に対する憎悪の高まりに対処するために21年3月、ソリース委員長が動議を提出し、活動が拡大した。それにより、LA vs Hateは、ヘイトクライムとヘイト行為の被害者のためのホットラインを開設し、住民が211LAに被害を報告することが可能になり、支援と予防戦略を提供する地元の、それぞれのコミュニティーの文化的背景に調和する組織のネットワークと住民を結び付ける役を担っている。報告は電話またはオンラインからも可能で、日本語にも対応している。
 LA vs Hateの詳細と報告についてはウェブサイト—
 https://www.lavshate.org/
【JKヤマモト】

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