前南加県人会協議会会長のハッピー水谷さん(最上段中央)の音頭で乾杯する参加者

 38の県人会で組織する南加県人会協議会は6日、2022年度役員就任式と親睦会をズームによるオンラインで開催した。昨年、初の日系米国人会長となり2期目の留任が決まったリチャード・ワタナベさん(福島県人会)以下、新役員14人が就任し、コロナ後の本格的な活動再開に意欲を示した。
 ワタナベ会長が新役員を1人ずつ紹介し、参加者約50人が見守る中、就任宣誓式に臨んだ。弁護士のチェイニー・シェフィールドさんの立会いで任務を全うすることを宣誓し、正式に就任した。シェフィールドさんは「おめでとう。新年度が始まります。頑張ってください」とエールを送った。新役員の門出を祝って送られた盛大な拍手が日系社会の期待の大きさをうかがわせた。

新年度のあいさつを述べるリチャード・ワタナベ会長

 ワタナベ会長が、新年度のあいさつに立った。就任式が昨年に次ぎズームによる開催となったことに悔しさをにじませ、「本当はライブがよかったが難しかった。これが最後のバーチャルにしたい」と希望。昨年の就任のあいさつを振り返り、「新型コロナウイルスのワクチンが普及してコロナが収束し、昨年中に正常な生活に戻ると考えていたが、デルタ株のまん延で思うようにならなった。不安定で困難な1年だったが、2022年は失った2年間を取り戻して、われわれも、他の多くの団体も、ピクニックなどのイベントを再開できることを期待したい」と述べた。「われわれの活動再開の初イベントは5月27日に計画しているチャリティーゴルフ大会だ」と意気込み、これから活発化するさまざまなイベントを成功させるための協力を求めた。加盟する各県人会の会長らに向けて「われわれ県人会協議会の役員も、皆さんが開くイベントに参加したい。22年は、共にいたわり合って結束し、実り多い年になるようにしてほしい」と呼び掛けた。
 来賓は祝辞で旧役員の労をねぎらい、新役員の前途を祝すと共に、日系社会における県人会協議会のリーダーシップと、さらなる発展に期待を寄せた。
 同会名誉会長の武藤顕総領事は、県人会協議会が当地の日系コミュニティーに与える影響は多大であるとし「コロナ禍の県人会協議会の活動が今日の日系コミュニティーの連帯を支えていることは言うまでもない」とたたえた。昨年ワタナベ会長が就任し、初の日系米国人会長を生んだ県人会協議会に対し「日本語の枠を超えたさらなる進化と、日系アメリカ人と日本人の新たな架け橋と新たな役割を担うことを期待したい」述べた。

祝辞を贈るアル・ムラツチ加州下院議員

 カリフォルニア州議会下院のアル・ムラツチ議員は、新型コロナのパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻など不安定な世界情勢の中で、県人会のような団体は、つながりを維持した助け合いに不可欠であることを強調。最後は日本語で「みんなで頑張りましょう」と呼び掛けた。
 南加庭園業連盟会長の岩下寿盛さんは、南加の日系団体の多くが後継者不足など諸問題を抱えており、それらの解決のために多くの県人会が2世、3世に合わせて英語で会を運営していると指摘し、英語を第一言語とし日本語を理解するワタナベ会長の下での協議会の発展に期待を寄せた。
 南加日系商工会議所会頭の竹花晴夫さんは、新型コロナの感染防止の規制緩和でうっぷんを晴らすかのように人々の経済活動が勢い良く再開されたあまり、需要過多となり、労働者不足やサプライチェーン問題、原油価格の高騰、高い水準のインフレを引き起こしたことを説明。「新型コロナと経済のこれらの困難な状況は日系史にも刻まれた」としたが、日系社会はこれまでも幾度も苦難を乗り越えてきたことを強調し「南加日商は、県人会協議会と共に力を合わせてコロナ禍からの脱却を目指し、日系社会の発展に尽くしたい」と述べた。
 役員就任式後の親睦会は和やかに、余興で盛り上がった。各県人会に30秒の発言時間が与えられた「県のおいしいもの自慢」は、来賓の海部優子ジャパンハウス館長が審査に当たり、「一番食べたいもの」を決めた。

 県人会は母県が当地で物産展を開く際や、農協、漁協などが商品を売り込みに来る際に手伝ったり、県人会の中には県の親善大使を務める会長や会員がいたりするため、プレゼンテーションはお手のもの。和牛、地鶏、コメ、ギョーザ、シュウマイ、かまぼこ、どじょう、あゆ、餅、お茶、みかん、うなぎ、豆腐、しじみ、桃、団子、うどん、そば、ふぐ、せんべい、地酒、焼酎、養殖まぐろ、ラーメン、明太子、もつ鍋、馬刺し、しいたけ、ゆずこしょう、マンゴー、ゴーヤ、たいめし—と次々に紹介された。海産物や野菜をふんだんに使った名物鍋の作り方や、米どころの県は冷えてもおいしいブランド米のアピールなど、各県は売り込みに懸命に努め、「当地の日系マーケットでも購入できる」などと力を込め、まるで視聴者に訴え掛けるテレビショッピングのような雰囲気を醸し出した。

故郷のズワイガニを使ったみそ汁を紹介し、鳥取県人会に優勝をもたらした会長の川口真理さん

 優勝は川口真理さんが会長を務める鳥取県。海と山に囲まれ自然が豊かなためおいしいものが多く、20世紀梨と松葉ガニが全国的に有名だ。川口さんは高級品として知られる雄の松葉ガニに対し、県外にはあまり出回らないという雌のズワイガニの料理を紹介し「雌は体が小さく地味だが、値段が安く地元でよく食べられている。これで作るみそ汁が、これまたおいしい」と、食欲をそそる語り口で紹介した。
 県人会協議会が主催する活動は活動資金集めのゴルフ大会の他、二世週祭でのロサンゼルス七夕まつり、敬老感謝の昼食会、親睦ボウリング大会、日本文化継承者への奨学資金集めの親睦演芸会など多岐にわたり、日系社会をけん引している。会員はコロナが収束し日系社会と各県人会、母県に奉仕する本格的な活動再開を待ち望んでいる。

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