23日に初日を迎えるベリナ・ハス・ヒューストンの戯曲「ティー」に出演する女優ら。1段目左からエレイン・アックルズ、オリビア・コーデル、ヒロコ・イマイ、ボロー・サルール、2段目左からトモコ・カリナ、フア・リー、ユカリ・ブラック、3段目左からアリックス・ユミ・チョウ、アリエル・カヨコ・ラバサン、サヤカ・ミヤタニ

 舞台芸術劇団「ヒーローシアター」は、日系移民を力強く叙情的に描いたベリナ・ハス・ヒューストンの戯曲「ティー(Tea)」を23日から、ロサンゼルスで上演する。同劇団のレジデントディレクターを務めるレベッカ・ウェアが監督しており、5月のアジア・太平洋諸島系米国人文化遺産月間を前に注目されている。
 「ティー」は、1960年代後半のカンザス州フォートライリーを舞台に、米兵と結婚した5人の日本人戦争花嫁の孤独や喪失、コミュニティーの必要性という普遍的なテーマを描いている。同じような境遇にありながらも、結束の強い関係とはいえなかった5人の日本人女性。しかし、そのうちの1人、ヒミコの自殺をきっかけに、皆で彼女の家に集い掃除してお茶をたてることに。そんな彼らを見守るのは、来世での安らぎを求めるヒミコの霊だった。集まった4人は、渡米してからの苦い経験を思い出しながら、語り合う。
 ▽主なキャラクターと配役(ダブルキャスト)は以下の通り。 
 アフリカ系米国人の夫を亡くしたばかりの心優しいセツコ・バンクス(ヒロコ・イマイ、ユカリ・ブラック)、夫が日系人であることから自分が他の人より「上」だと感じている、鼻持ちならないアツコ・ヤマモト(フア・リー、ボロー・サルール)、コーヒーが大好きで、友人たちから「チズ」と呼ばれているチズエ・フアレス(エレイン・アックルズ、アリエル・カヨコ・ラバサン)、白人の男性と結婚したテルコ・マッカンジー(オリビア・コーデル、アリックス・ユミ・チョウ)、悲劇の死を遂げたヒミコ・ハミルトン(トモコ・カリナ、サヤカ・ミヤタニ)。
 「ティー」は、連合国占領期に出会った日本人の母と、アフリカ系米国人と米国先住民のハーフである父の間に生まれ、カンザス州で育った原作者ベリナ・ハス・ヒューストン自身の体験に根差した戯曲。また「朝が来ました(Morning Has Broken)」「アメリカン・ドリームズ(American Dreams)」に続く「戦争花嫁3部作」の戯曲3作目としても知られている。ヒューストンは「母は子どもたちが二つの国に慣れるために多くの犠牲を払った。私は母の娘であることを誇りに思っている」と自身のブログに記しており、また「この作品は、私が生涯をかけて自分の子どもたちに伝えようとして生まれたものだ」とつづっている。
 1987年にニューヨークのマンハッタン・シアタークラブでの初演以来、日本を含む世界各地の劇団が上演。日本では尼崎のピッコロシアターや東京のシアターXで上演された他、NHKでのテレビ放送、LAシアターワークスでのラジオ録音、ドラマティスツプレイサービス社による出版などマルチメディアで展開している。
 舞台のクリエイティブチームには、セットデザイナーのカルロ・マギラン、照明デザイナーのアズラ・キング=アバディ、音楽・音響デザイナーのダン・ハラダが参加。衣装デザイナーはマギー・ディック、アソシエイト衣装デザイナーはマービン・ヒルダゴが務めている。演出助手はオードリー・フォーマン、ステージマネジャーは、アシュリー・ウィーバー、そして、ヒーローシアターのレジデントアーティストであるゲイブ・フィゲロアがプロデュースを担当している。 
 ヒーローシアターは、芸術を通して社会的・環境的正義の実現を目的とする地域密着型の劇団。演劇を通して観客が米国社会を体験できることを目指す。また古典と現代を検証し公平性や多様性、包括性のある作品を創り出している。近年、関連グループの「ヒーロー・マルチ・メディア」と共に、10年プロジェクト「ヌエストロ・プラネタ」を立ち上げ、映画や演劇を鑑賞するラテン系の観客に米国大陸の環境正義について教育することに焦点を当てている。
 上演は23日〜5月15日の木日〜日曜日(日時の詳細はウェブサイトで)。会場はロサンゼルス「インナーシティー・アーツ美術学校」のローゼンタール劇場(720 Kohler St.)。
 チケットは35ドル。チケットの購入および詳細については、電話323・206・6415、またはウェブサイト—
 www.HeroTheatre.org
 ベリナ・ヒューストンのウェブサイト—
 www.velinahasuhouston.com

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