
新型コロナウイルスの影響による中断を経て3年ぶりに対面式で開催された第80回二世週祭は、20、21の両日のイベントで全日程を終え、閉幕した。日米文化会館での日本文化の展示の他、会館前広場でゲームや日本をテーマにしたグッズの販売、クラフトブースや日本食の紹介、太鼓演奏などの祭りイベントが催され、にぎわいを見せた。21日の夕方には2街の路上で街頭音頭が開かれ、その直後の閉会式に続いた。

日系社会が熱望した祭りは再開にこぎ着けたもの、恒例の幾つかの催し物を中止するなど規模縮小を余儀なくされ、コロナ禍が影を落とした。祭りの最大のイベントのパレードとコロネーションボウルは実施されたが、参加者数を減らしたり時間を短縮したりし対応した。
祭りが再開されるか否かの発表は大幅に遅れ、常連の参加団体をやきもきさせた。開催が決まっても準備が間に合わず、参加を断念した団体もあったという。

毎回、祭りの先陣を切って行われるベビーショーが中止されたため、パレードで小型レプリカ機関車「チューチュートレイン」に乗り込むかわいらしい子どもたちの姿を見ることはできなかった。阿波おどり、青森ねぶた、一部の日舞の社中や太鼓クラブなど常連参加者の姿もなかった。ねぶたの不参加を知らずに来た観客は「楽しみに来たのに残念」と悔しがっていた。パレードにはまた、南加県人会協議会や南加日系商工会議所、南カリフォルニア日系企業協会(JBA)など、日本人社会の主要団体が行進する姿も見えなかった。
コロナ禍で団結、有終の美
街頭音頭で締めくくる
小東京を祭り一色に染めた二世週祭は、コロナ禍という困難な状況で再開し、全行事を無事に終え有終の美を飾った。

二世週祭で毎回、ブースを出している絵本作家の関三脚さんは、今年も自著と日本文化の小物の販売を行った。今年の祭りについて「これだけ大勢の人が来たのは、コロナで2年以上も日本へ行けず日本に飢えた人々が、うっぷんを晴らすように二世週祭にどっと押し寄せてきたのだろう」と話した。自身も訪日できず、小物を仕入れることができなかったと言うが、糸を操り忍者の人形を上げる自作の「クライミング忍者」を実演し、人気を博していた。
イングルウッド在住の池冨士なをみさんは、夫ケリー・コバヤシさんと双子で5歳の息子の太磯(ひろき)ちゃんと陽祈(はるき)ちゃんと来場した。地元の図書館で2週間ほど前に関さんの著書「YUKO-CHAN AND THE DARUMA DOLL」を借り、この日は偶然に関さんと会いびっくりしたという。「とてもいい絵本で、英語と日本語で書かれ、説明も分かりやすい」と称賛。息子2人は先週から学校で日英のデュアル言語プログラムを取っており、池冨士さんは「いいタイミングでいい絵本と、関さんに出会えてよかった」と喜んだ。息子の担任の教師に関さんの活動を紹介したところ、講師に招く意向を示したそうで、実現を心待ちにしている。

街頭音頭は太鼓演奏と「民謡ステーション」の演奏を皮切りにスタート。浴衣や法被を身にまとった参加者が大きな輪を作り一斉に踊り出した。そろいのいでたちで参加した踊りのグループや組織のチームだけでなく、一般参加や、観客席からの飛び入りも多く、久しぶりに踊る人も多かったが、他の踊り手に倣ってすぐに思い出し、調子を合わせた。1曲終わるごとに大きな拍手が送られた。音楽は民謡ステーションが数曲を生演奏し、場を盛り上げた。参加者は、日が暮れるまで盆踊りを満喫した。
閉会式では、共同実行委員長のコーリー・ハヤシさんとナンシー・オオクボさんがあいさつし、コロナ禍の不確実な世の中での二世週祭への協力に謝意を示した。

祭りを成功に導いた両委員長は、1年前から私生活を犠牲にし準備に取りかかったが、この2週間は特に多忙を極めた。2人は心地よい疲労感と達成感に浸りながら安堵(あんど)の表情を浮かべ、今年の祭りを振り返った。
2018年に次いで、2度目の委員長を務めたハヤシさんは「前回は初めてで、無我夢中で終わったという感じだった。今年はコロナで状況が一変し、運営はとても難しかった。ナンシーさんと話し合い、小東京のみんなのエネルギーで団結して成功させることができた」と仲間に感謝した。祭りの期間中にコロナに感染したため「いくつかのイベントに参加できなかったことが心残り」と言う。
今年の祭りは自身が委員長を務めそして、父ケネスさんがパイオニア賞に選ばれたことを心から喜ぶハヤシさんは、姉2人もかつて二世週祭女王のコートとして活動した。「家族そろって祭りに関わることができるのは、二世週祭のよいところ。これからも日系社会を支えたい」と述べた。

もう1人の委員長であるオオクボさんは「昨年のバーチャル祭りではこちらが一方的に伝えることしかできなかったが、今年はついに対面で開催できた。観衆の反応が直に伝わってきて、有観客イベントのありがたさが分かった」と語った。「日系米国人が小東京に里帰りのように集まって祭りを催すのが二世週祭。それをコロナに負けずに実行できたことが良かった」と胸を張ると同時に、女王とコートに向けて「小東京と日系社会を代表し、他の社会と交流を深めてほしい。7人は若いので、女王プログラムの活動を経験することで、将来の日系社会での奉仕活動の役に立つと思う。頑張ってほしい」とエールを送った。

二世週女王のクリスティーン・ヤダさんは戴冠から1週間、二世週祭の行事をこなしながら小東京の商店や非営利団体へのあいさつ回りで忙しい毎日を送ったというが「私にとっては全てが新鮮で、素晴らしい経験になった」と微笑む。さらに「日系社会に奉仕することは本当に光栄なことだと思った。南カリフォルニアの他の社会との交流や、サンフランシスコ、ハワイの日系社会を訪れることも楽しみにしている。親善大使としての重責を担うが、任務を全うできるように力を合わせて素晴らしいコートのメンバーと頑張りたい」と、意欲を示した。


