

新型コロナウイルスの影響で中断していた二世週祭が3年ぶりに開催され、14日には祭りのハイライトとなるグランドパレードが行われた。グランドマーシャルのジョージ・スギモトさんをはじめ、日系社会の発展に貢献して二世週財団から表彰された各賞の受賞者や、日系諸団体の代表らが小東京を練り歩き、パレードはおよそ2時間続いた。
観衆は日系社会が待望していたパレードが復活し、華やかに小東京を彩ったことを喜び、コロナ禍から日常生活への回復の期待を抱きながらパレードを見守った。
今年のグランドパレードは、規模を縮小したため参加数は減ったものの、団体・個人を合わせて50超のグループが、堂々と行進した。コロナ禍で暗く沈んでいた日系社会が活気を取り戻し、伝統の祭りは佳境に入った。

日系社会で活動する人たちが次々に登場し、沿道で待ちわびた鈴なりの観衆の声援に、手を振って応えた。政界からはロサンゼルスのエリック・ガーセッティ市長やアル・ムラツチ加州下院議員らが参加。20日に離任して当地を旅立つ武藤顕・三佐子日本総領事夫妻には別れを惜しむ観衆から感謝を込めた声援が送られ、武藤総領事は飛び切りの笑顔で応えた。
パレードの「花」の日舞は、踊りの振り付けを担当した吾妻流の吾妻菊寿恵師と寿会が先頭に立ち「河内おとこ節」と「ワン・ウイッシュ」を踊った。その他の流派の社中や一般参加の踊り手が後に続き、練習の成果を発揮した。

日系社会と交流を深める団体からは姉妹都市名古屋からの一行、サンフランシスコ日本祭の女王とコートらが笑顔を振りまいた。アニメのコスプレ姿のグループや二世週祭マーチングバンド、空手、柔道のデモンストレーション。日系ゲームズのグループは行進しながらバスケットボールのシュートチャレンジなどを披露し、大きな拍手を受けた。
観客を焦らすかのように、終盤になってセレブリティーが続々と登場。パレードマーシャルのマイア・シブタニさんとアレックス・シブタニさん(アイスダンス元米国五輪代表で銅メダリスト)、サッカー米国代表で沖縄出身の祖母をもつケリン・アコスタ選手(ロサンゼルスFCに所属)らが姿を現すと、パレードは一気に盛り上がった。

19年に参加したアイドルグループ「美・少年」に続いて今年も日本のジャニーズ事務所からタレントが参加し、7人組のアイドルグループ「Travis Japan」がオープンカー2台に分乗して姿を現すと、地元の日本人や日本から観光で訪れていたファンから黄色い声援が飛んだ。
フィナーレは前日に戴冠した二世週祭新女王のクリスティーン・ヤダさんと6人のコートで、振袖姿で笑顔を振りまくと、ひときわ大きな声援が沸き起こり、パレードが締めくくれられた。二世週祭は日本文化と日系人文化の多様性を思う存分に表現し、グランドパレードを成功させて祭りの目的を果たした。
グランドマーシャル
ジョージ・スギモトさん

グランドマーシャルのジョージ・スギモトさんは「今日がその日かと思うととても興奮した。私は若くないし歩行も大変なので、車に乗って小東京を回ることができてとても楽しかった。多くの人々が見に来ていることにびっくりした。声援をもらいうれしかった」と喜んだ。
グランドマーシャルの選出については「(直接に)祭りにかかわったことがなかったので驚いたが、とても光栄に思っている」と述べた。選出は日系社会への多大な貢献が認められてのこと。日系社会へ送るメッセージは「遠く将来に目を向けて考え、行動すればいい。若い人が頑張っているので、年寄りの私はもうすることはない」と、冗談交じりに後を託した。

パレードマーシャル
シブタニさん兄妹
パレードマーシャルのシブタニ兄妹マイア・シブタニさんとアレックス・シブタニさん兄妹は、色違いの米国代表Tシャツを着て、クラシックカーに乗って姿を現した。兄のアレックスさんは「二世週祭は、日本文化と日系人文化を紹介する素晴らしいお祭り。参加でき光栄に思っている。初対面の人たちに会うことに興奮したし、われわれ2人が日系米国人だということと、世界中に広まる日本文化を誇りに思っていることを、今日、改めて確認できた」。妹のマイヤさんは「二世週祭に招待され、パレードマーシャルとして祭りに初めて参加できてとても光栄に思っている。今日は2人でずっと心待ちにしていたパレードを楽しむことができた。五輪や他の大会でも日系米国人から熱心に応援してもらい、今日もロサンゼルスの日系米国人コミュニティーの皆さんから大きな声援をもらい、とてもうれしかった」と述べた。

2人はこれまでにも小東京を訪れたことがあり、全米日系人博物館(JANM)の見学では日本人移民の農業開拓からパイオニアによる日系コミュニティーの形成、日本人町づくり、日米開戦、強制収容、戦後の復興などの日系史を学んだという。アレックスさんは「日系米国人はこの国で長い歴史を持っていて、困難なこともあったが、乗り越えてきた。ロサンゼルスの日系人は、この二世週祭を長い間継続するように共通の目的を持って団結している。とても素晴らしい」と称賛した。
名誉パレードマーシャル
ケリン・アコスタさん

名誉パレードマーシャルのケリン・アコスタさんは「祖母ヨシコが沖縄出身。父のケニスは沖縄生まれで10歳まで日本で暮らしていた」と自身のルーツを紹介し、「日本人の血を引くことを誇りに思う」と話した。名誉グランドマーシャルとしての参加については「日系人ということで選ばれたことは名誉」と言う。この日はパレード用の特製のジャージーに袖を通した。胸には二世週祭の「祭」のロゴ、左肩には日の丸がプリントされており「とてもうれしい。これからも日本のバックグラウンドを背負って生きていきたい」と力を込めた。

「初めて二世週祭に参加することができた。初めて会う人ばかりで興奮し、多くの人と話し新鮮な体験ができた。ナンシーさん(オオクボ共同実行委員長)ら皆さんから歓待を受けて、小東京に着いて10分もしないうちに打ち解けることができ、自分でも驚いた」と語った。日系社会の印象については「このような大規模なお祭りを長い間、続けていて素晴らしい。日系米国人ということを誇りに持ってずっと続けてほしい」と、エールを送った。
オオクボ共同委員長
「今週末も来てほしい」
滞りなく無事にパレードが終了して安堵する共同実行委員長の1人、ナンシー・オオクボさんは、パレードを振り返り「3年ぶりの開催を待っていた人々が楽しんでくれて良かった。疲れているように見える人もいたが、多くの人が最後まで見てくれていたことがうれしかった。私も初めてオープンカーに乗って、とても楽しかった」と語った。「二世週祭は今週末も開かれる。日米文化会館で日本の伝統文化を紹介する展示が行われ、JACCCプラザでも多くのおもしろいイベントが行われる。最終日の日曜には、街頭音頭と閉会式が行われるので、ぜひ参加してほしい」と、呼びかけた。